夫の扶養で働いている主婦やパートタイマーの年末調整のしかたについてまとめてみました。書類の記入のしかたや節税のコツなどについても説明しています。
扶養控除等(異動)申告書の書き方
主婦やパートタイマーの人の年末調整で提出する書類は基本的に「扶養控除等(異動)申告書」だけになります。
個人情報など
右側には氏名住所、生年月日などの記入と押印をします。扶養控除等(異動)申告書は会社で保存される書類となりますので、シャチハタでも問題ないですが、認印があればそちらの方が望ましいです。実印を押す必要はありません。
左側は会社の情報などを記入するところです。会社から指示があれば記入してください。
個人番号(マイナンバー)は会社から指示があれば記入をしてください。「従たる給与についての扶養控除等申告書の提出」は空欄で構いません。
扶養控除等申告書の記入はここで終わりになります。
その他の欄について
個人情報の記入欄の下には「主たる給与から控除を受ける」「16歳未満の扶養親族」の欄があります。これらは扶養控除や障害者控除、配偶者控除といった減税制度を受ける場合には記入します。
扶養控除
子どもがいる場合には、その子どもの氏名や生年月日を記入することは可能ですが、妻の扶養控除等申告書で記入をしてしまうと、夫の方では記入できなくなってしまいます。
同じ扶養控除であっても、年収の大きさによって減税される金額は大きく変わってきます。年収が高い夫の方で控除を適用したほうが大きな減税を受けることができるため、妻の扶養控除等申告書には何も記入しません。
保険料控除申告書について
保険料控除申告書は減税するための「所得控除」を受けるための書類です。
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 小規模企業共済等特例控除
- 社会保険料控除(給与分以外)
以上の控除が適用できるのであれば、保険料控除申告書に記入を行うとともに、その支払いを証明するための書類も一緒に会社に提出をします。
パート収入が100万円以下なら提出する必要はない
所得控除というものは税金が発生した場合に適用を受けることができる制度です。パート収入が100万円以下ならそもそも税金がかからないため1、控除の適用をしてもしなくても何も変わりません。
つまり、パート収入が100万円以下なら保険料控除申告書を提出する必要はないのです。
妻名義の生命保険料も夫の年末調整で使える
妻名義の生命保険料などは妻本人の年末調整で使うことは可能ですが、夫の年末調整や確定申告でも使うことができます。
上で説明した扶養控除と同様に、同じ生命保険料控除であっても、年収の大きさによって減税される金額は大きく変わってきます。年収が高い夫の方で控除を適用したほうが大きな減税を受けることができるため、妻の年末調整では使いません2。
保険料控除申告書の書き方
生命保険料控除や地震保険料控除などを受けるときの記入方法についてはこちらのページでまとめています。
パート収入と年末調整
103万円以下でも年末調整は必要である
そもそもパート収入が103万円以下なら年末調整をする必要があるのかと思う人もいるかもしれません。
年末調整とは1年間の所得税を確定させ、すでに天引きしている所得税との差額を調整をすることです。1か月の給与が88,000円を超えてしまうと、給与から所得税が天引きされてしまいます。年間のパート収入が103万円以下でなら所得税がかかりませんが、すでに天引きされている所得税を還付してもらうには年末調整をしなければならないのです。
1年間で所得税が一切徴収されていなければ年末調整をする必要はありませんが、会社は便宜上全て年末調整をすることが多いです。
必ず扶養控除等申告書は提出しなければならない
扶養控除等申告書は年末調整をするための書類でもありますが、毎月の給与から天引きされる所得税を決定するための書類でもあります。年末調整をするしないに関わらず、扶養控除等申告書は会社に必ず提出しなければなりません。
扶養控除等申告書を提出しないと正しい金額で所得税が天引きされなくなります。必ず提出しましょう。
パート先を掛け持ちしているとき
年末調整ができるのは、一人につき勤務先1か所だけとなります。掛け持ちしている人はサブの給与の年末調整が行われないため、税金の還付を受けるには確定申告をする必要があります。
書き方についてこちらでまとめています。
確定申告をしなくてもいい場合も
パートの掛け持ちをしている人全てが確定申告をしなければならないということではありません。年収150万円など要件を満たせば、確定申告をしなくてもいいことになっています。
詳しくはこちらでまとめています。
- パート収入100万円以下でも住民税の均等割という税金がかかる場合もあります。しかし、住民税の均等割は所得控除で減税できる税金ではありません。住民税の均等割がかかるかどうかはパート収入の金額によって決められており、その金額は住んでいる市区町村によって異なります。くわしくはこちらでまとめています。 住民税の非課税について ↵
- 妻名義の保険料を夫の年末調整で使う場合には、引き落としの口座などで夫がその保険料を支払っていることを明らかにしなければなりません。 ↵