保険料控除申告書の書き方についてまとめました。生命保険料控除や地震保険料控除のための簡単に使える計算機も用意しています。
保険料控除申告書とは?
会社で年末調整をするための書類
会社員の人は毎年10月11月ごろになると、年末調整のための書類が会社から配られ、期限が設定され記入提出を求められていると思います。
年末調整とは給与収入や各種控除などからその人が納めるべき所得税を計算することです。手続きを行う上では、様々な情報が必要になるため、個々が記入をした書類が会社が税金を計算するために必要となります。
保険料控除申告書は減税をするための書類
所得税には特定の支払いや負担があると減税できる制度があります。
提出を求められる複数ある書類のうち、保険料控除申告書は減税するための「所得控除」を受けるための書類です。
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 小規模企業共済等特例控除
- 社会保険料控除(給与分以外)
以上の控除が適用できるのであれば、保険料控除申告書に記入を行うとともに、その支払いを証明するための書類も一緒に会社に提出をします。
住民税も減税される
年末調整では所得税の計算を行いますが、その計算結果から住民税の計算も行われます。「保険料控除申告書」の提出をすれば所得税だけでなく住民税の減税も行われます。
支払いがなければ提出をしない
1年間のうちに生命保険料や地震保険料、国民年金、国保などの支払いがなければ、適用できる控除はありません。
「扶養控除等の(異動)申告書」は必ず提出しなければならない書類ですが、「保険料控除申告書」は適用できる控除がなければ提出する必要はありません。
控除が適用できるのに提出しないと損する
特に提出しなくても年末調整をする上では問題ないですが、生命保険料や地震保険料などの支払いがあったのに書類の記入や証明書の提出をしないと、所得税や住民税を損してしまうということになります。
税金制度を有効に使うためにも大切な書類です。
保険料控除申告書の書き方
5つのブロックに分けて説明します。
1.個人情報など
右側には氏名住所の記入と押印をします。保険料控除申告書は会社で保存される書類となりますので、シャチハタでも問題ないですが、認印があればそちらの方が望ましいです。実印を押す必要はありません。
左側は会社の情報を記入するところです。会社から指示があれば記入してください。
2.生命保険料控除(自動計算機)
この欄は生命保険料の支払いがあったときに記入します。記入の際には控除証明書(払込証明書)が必要です。毎年9月の後半から10月の前半にかけて保険会社から送られてくる書類です。
保険の区分を確認する
控除証明書から保険の区分を確認します。
- 一般生命保険
- 介護医療保険
- 個人年金保険
このように、1枚の証明書に2種類以上の保険が含まれていることもあります。
保険の情報を記入する
契約の情報(色が付いている部分)を記入します。記入する箇所は保険ごとに分かれていますので、間違えないようにしましょう。
新旧の区分と保険料の金額
特に重要になるのは「新旧の区分」と「保険料等の金額」です。
- 新旧の区分
一般生命保険と個人年金保険は「新旧」の区分が設けられています。「新旧」とは契約年月日によって決まるもので、証明書のどこかには必ず記載されています。介護医療保険には「新旧の区分」はありません。
・平成24年 1月 1日以降→新
・平成23年12月31日以前→旧 - 保険料等の金額
控除証明書には次の2つの保険料の金額が記載されています。
・証明書発行時点の保険料額(証明額)
・年末時点の予定の保険料額(申告額)
書類に記入するのは「申告額」です。証明額は無視してください。
控除額の計算と転記
控除額を求めます。帳票に直接入力する計算機を用意しました。
黄色の部分(新旧の選択と保険料)を入力して計算ボタンをクリックすると、桃色の部分が表示されるので、その金額をそのまま転記しましょう。
3.地震保険料控除(自動計算機)
この欄は地震保険料の支払いがあったときに記入します。地震保険料控除証明書が必要になります。毎年9月の後半から10月の前半にかけて保険会社から送られてくる書類です。一括払いの場合には契約時に送られてくることもあります。
保険の情報を記入する
控除証明書を見ながら契約の情報(色が付いている部分)を記入します。
保険の区分と保険料の金額
控除額の計算と転記
控除額を求めます。帳票に直接入力する計算機を用意しました。
黄色の部分(区分の選択と保険料)を入力して計算ボタンをクリックすると、桃色の部分が表示されるので、その金額をそのまま転記しましょう。
4.社会保険料控除
この欄は年金、健康保険、雇用保険などの支払いがあったときに記入します。国民年金の控除証明書など社会保険料の控除証明書が必要になります。毎年9月の後半から10月の前半にかけて年金事務所などから送られてくる書類です。
給与の社会保険料は記入しない
毎月の給与から差し引かれる社会保険料は、保険料控除申告書に記入しません。記入しなくても自動的に控除が行われます。
国民年金、国民健康保険を記入する
家族の国民年金や国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療保険、自分の国民年金や国民健康保険など、会社が知りえない社会保険料を支払っていたときに記入します。
支払った金額を記入する
生命保険料や地震保険料は支払った金額から計算を行って控除額を求めますが、社会保険料については支払った金額そのままが控除額となります。控除証明書に記載されている支払金額をそのまま記入します。
5.小規模企業共済等掛金控除
この欄は確定拠出年金や小規模企業共済などの支払いがあったときに記入します。小規模企業共済等掛金の控除証明書が必要になります。
今年から確定拠出年金(iDeCo)に加入している人も
法律が改正され2017年1月から60歳未満の人は誰でも個人型の確定拠出年金に加入できるようになったため、今年からiDeCoに加入しているという人も多いと思います。大きな減税を受けることができるので、忘れずに記入をしましょう。
確定拠出年金が会社の給料から天引きされている人は記入する必要はありません。
支払った金額を記入する
社会保険料控除と同様に、確定拠出年金については支払った金額そのままが控除額となります。控除証明書に記載されている支払金額をそのまま記入します。
注意する点
控除証明書も会社に提出する
4つの所得控除では証明書の金額を記入してきましたが、この証明書も保険料控除申告書と一緒に提出しなければなりません。減税を受けるにはそれを明らかにする書類が必要となります。
例外的に国民健康保険や後期高齢者医療保険、介護保険などは証明書は提出しなくても記入するだけで適用が受けられます。
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国民健康保険の証明書は年末調整や確定申告で提出する必要はありません。
年末調整や確定申告で社会保険料控除を受けるために提出する控除証明書は、社会保険料の種類によって提出しなくていいものもあります。添付書類につい ...
紛失してしまったら再発行できる
紛失してしまっても、保険会社や年金事務所など控除証明書を発行しているところに問い合わせれば、再発行してもらうことができます。しかし、すぐに再発行できないこともありますので、会社の年末調整の書類の提出期限に余裕を持って取り寄せるようにしましょう。
最悪、確定申告をすれば適用できる
控除の適用をし損ねたとしても、2月3月に確定申告書を税務署に提出することによって、年末調整と同じ減税を受けることができます。
しかし、確定申告は書類の作成から提出まで全て自分で行わなければならず、慣れていない人にとって非常に大変な手続きです。書類さえ提出すれば全て会社に計算してもらえる年末調整の利用することをおすすめします。
保険料控除申告書を紛失してしまったら
国税庁が配布しているのと同じ保険料控除申告書を使用している場合は、パソコンがあれば国税庁のwebサイトから簡単に印刷することができます。
給与所得者の保険料控除申告書(国税庁PDFファイル)
会社独自の保険料控除申告書を使っている場合は、会社の経理部の人にお願いしてもらうようにしましょう。
年末調整で適用できない所得控除
年末調整で全ての制度を使えるわけではありません。
- 雑損控除
- 医療費控除(セルフメディケーション税制も含む)
- 寄附金控除
これら適用を受ける場合には確定申告をする必要があります。