確定申告でふるさと納税の寄付金控除の適用を忘れてしまったときの更正の請求書の書き方についてまとめました。
記入する前に
更正の請求と寄附金控除
税金が還付=更正の請求
確定申告の訂正では、更正の請求と修正申告どちらかの手続きが必要となります。寄附金控除の適用により税金が還付になる訂正となるので、更正の請求を行います。
5年以内のなら請求できる
更正の請求ができるのは法定申告期限から5年以内の申告書です。
2018年3月15日が法定申告期限の所得税の確定申告書なら、2023年3月14日まで受け付けてもらえます。
用意するもの
ふるさと納税の更正の請求書の作成では主に次のものが必要となります。
更正の請求書
請求書はPDFファイルで国税庁のwebサイトにアップロードされています。自宅やコンビニなどで印刷して用意しましょう。
令和元年分の所得税(国税庁PDFファイル)
平成29年30年分の所得税(国税庁PDFファイル)
平成28年分の所得税(国税庁PDFファイル)
訂正したい申告書の各年分ごとに用意されていますが、大きな違いはありません。年分が合っていなくても問題なく作成提出ができます。このページでは令和元年分の確定申告書と更正の請求書を使って説明をします。
確定申告書の控え
更正の請求書に訂正をしたい確定申告書から転記を行うため、申告書の控えが必要です3。青色申告決算書や医療費控除の明細書など申告書に添付している書類の訂正がある場合には、その書類の控えも用意します。
申告書の控えを紛失した、そもそも控えを作成していなかった場合には、税務署から申告書の控えを交付してもらう必要があります。
控えを取り寄せる方法についてはこちらのページでまとめています。
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【開示請求】税務署から申告書の控えを取り寄せる方法、控えを紛失してしまったら
所得を証明するときなどでは確定申告書の控えの提出が求められることがあります。そもそも申告書の控えを作っていなかったり、申告書の控えを紛失して ...
電子申告ならネットで取得できる
訂正したい所得税の確定申告を電子申告で行った場合には、国税庁のe-Taxから申告書の控えをPDFファイルでダウンロードすることができます。
詳しくはこちらのページでまとめています。
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電子申告をした申告書の控えの取得の方法とは?ダウンロードの仕方など
マイナンバーカードで電子申告した場合の申告書の控えの取得の方法についてまとめました。電子申告が完了したらデータを持っておくようにしましょう。 ...
寄附金受領証明書
ふるさと納税を行うと、寄附先の自治体から寄附金受領証明書が送られます。この証明書は更正の請求や確定申告では必ず添付しなければなりません。紛失してしまった場合には、寄付先の市区町村の役所に問い合わせると再発行してもらえます。
寄附先を忘れてしまった場合には、住んでいる自治体に問い合わせると教えてもらうことができます。
更正の請求書の書き方
4つのブロックに分けて説明します。
個人情報など
氏名や住所、マイナンバーなど本人の情報を記入して、押印をします。
基本的には申告書の控えから転記することとなりますが、更正の請求書には現在の納税地を記入するため、当時から現在までに引越しをした場合には住所と所轄の税務署は注意しましょう4。
年分には申告書の控えに記載されている年を記入します。
請求の内容理由
申告又は処分の種類
申告書の控えに記載されている年分を記入します。上の「〇〇年分所得税及び復興所得税」にも同じ数字を入れます。
申告書を提出した日
訂正したい申告書を提出した日を記入します。申告書の控えに受領印が押されている場合は、その受領印の日付です。
更正の請求をする理由
「確定申告をすることにより、ふるさと納税のワンストップ特例制度が無効になったため。」と記入します。
添付した書類
「寄附金受領証明書」と記入します。
請求額の計算書(計算機)
訂正による所得税額の計算を行います。自動計算機を用意しました。
申告書の様式を選択して、ふるさと納税の寄附金額と確定申告書第一表(控え)の黄色の欄に金額を入力して計算ボタンをクリックすると、タブで切り替えた更正の請求書の桃色の欄の新しい所得税額までの計算が行われます5。
ふるさと納税の寄附金額とは、寄附金受領証明書に記載されている金額です。複数ある場合には、全て合計した金額です6。
還付先の口座
還付金を受け取る本人の金融機関の口座を記入します7。申告する人と同じ名義でなければ手続きが行われません。特に結婚や離婚で姓が変わった人は注意してください。
更正の請求書の完成
最後に細かい作業を行えば、更正の請求書の作成が完了します。
丸の記入
社会保険料控除や生命保険料控除、医療費控除など、合算の金額が示されている欄については、適用があった控除の項目に丸を入れます。
扶養控除の人数の記入
扶養控除の適用があった場合には、その人数を記入します。16歳未満の扶養親族は扶養控除の対象ではないため、この人数からは除外します。
所得税の確認
「所得税及び復興特別所得税の額」の2つの金額を見て、左の金額より右の金額の方が小さくなっていることを確認しましょう。もし、そうでない場合には、どこかで記入ミスをしている可能性があります。
所得税の還付額の計算
更正の請求が承認されて、還付が発生する金額は、「第3期納付額」の2つの金額の差です。
上の画像の場合には、48,163円と53,881円の差となるので、還付額は5,718円です。
更正の請求書の提出
添付書類をまとめる
国税庁のwebサイトにアップロードされている「添付台紙」を印刷します。
添付台紙(国税庁PDFファイル)
住所や氏名、申告の年分を記入します。税務署に提出する書類をのりで貼り付けます。
- 身分証明書のコピー
- マイナンバー通知カードのコピー
ホチキス止め
上から
- 更正の請求書
- 添付書類台紙
- 寄附金受領証明書
となるように更正の請求書の左上をホチキスで留めます。
2種類の提出方法
更正の請求書に記入した税務署に完成した申告書を提出します。
- 郵送で提出する
- 税務署で直接提出する
提出の方法は2つあります。自宅から税務署までが遠い人や税務署まで行く時間がない人は郵送による提出をしましょう。
詳しくはこちらのページでまとめています。
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郵送での確定申告書の提出の方法とは?提出先や期限は?消印有効?
郵送による確定申告書の提出方法についてまとめてみました。税務署が自宅から遠くにある人、税務署まで行く暇がない人はぜひおさえておきましょう。 ...
こちらのページは確定申告書の提出方法としてまとめていますが、更正の請求書も扱いは同じです。
税金の還付
所得税の還付
更正の請求書が税務署に承認されると、指定した口座に還付の手続きが行われます。すぐに還付が行われるわけではありません。1、2か月程度かかります。
住民税の還付
承認された更正の請求書の情報は、税務署から住所地の役所や役場に送られ、住民税の再計算が行われ還付額が算定されます。更正の請求書に記載されている税金は所得税だけです。住民税の還付額は役所から改めて報告されます。
還付までには4、5か月程度かかります。還付の手続きに際して、役所や役場から振込先の口座の情報を求められることがあります。その場合には、速やかに口座を指定しましょう。
所得税と住民税の還付までの一連の流れに関して、詳しくはこちらのページでまとめています。
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更正の請求で所得税と住民税の還付を受けてみた
確定申告書に誤りがあったとき、手続きを行うことによって確定申告のやり直しを行うことができます。今回はやり直しをすることによって所得税が還付さ ...
- 身分証明書として認められている主なものは次のとおりです。
・運転免許証
・パスポート
・社員証、資格証明書
・年金手帳
・印鑑登録証明書 ↵ - マイナンバーカードのコピーを提出することも可能です。その場合には、身分証明書と通知カードのコピーは必要ありません。 ↵
- 申告書の作成をパソコンで行った場合には、申告書のデータでも構いません。とにかく、申告書の中身が記載されている資料が必要です。 ↵
- 税務署が変更になった場合には、変更前の税務署に納税地の異動の届出書を提出しなければなりません。詳しくはこちらでまとめています。
所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書(国税庁PDFファイル) ↵ - この計算機は訂正する申告書に第三表や第四表がある場合には対応しておりません。 ↵
- 寄附金額が追加となる場合には、その合計の金額を入力してください。例えば、すでに50,000円分は適用していて、更正の請求で30,000円追加する場合には、80,000円と入力します。 ↵
- 郵便局の店舗名を記入することにより、その郵便局の窓口で還付金を現金で受け取ることもできますが、手間がかかってしまうので、口座で受け取る方法をおすすめします。 還付金を現金で受け取る方法 ↵ ↵