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特定増改築等住宅借入金等特別控除とは?

特定増改築等住宅借入金等特別控除についてまとめました。



特定増改築等住宅借入金等特別控除とは?

ローンを組んで特定のリフォームをしたときの減税制度

特定増改築等住宅借入金等特別控除とは、ローンを組んで対象となる特定のリフォームをしたとき、その年にかかる一定の所得税を減らすことができるという制度です1

最大5年間適用できる

この制度は、リフォーム完了後のマイホームに住み始めたときから最大5年間毎年適用を受けることができます。

対象となるリフォーム

制度の対象となる特定増改築は次の4つです。

  • バリアフリー工事
  • 多世帯同居工事
  • 断熱改修工事(特定断熱改修工事)
  • 特定耐久性向上改修工事

それぞれの具体的な内容は次のとおりです。

バリアフリー工事

  • 通路等の拡張
  • 階段の勾配の緩和
  • 浴室の改良
  • トイレの改良
  • 手すりの取り付け
  • 出入口の戸の改良
  • 段差の解消、スロープの設置
  • 滑りにくい床材料のへの取替え

多世帯同居工事

  • キッチンを増設する工事(ミニキッチンも可)
  • 浴室を増設する工事(浴槽がないシャワー専用も可)
  • トイレを増設する工事(小便器のみは不可)
  • 玄関を増設する工事(外階段も含む)

断熱改修工事(特定断熱改修工事)

  • 窓や床、天井の断熱工事

特定耐久性向上改修工事

  • 屋根裏の換気性を高める工事
  • 浴室や脱衣所の防水性を高める工事
  • 土台や地盤、骨組の防腐、防蟻のために行う工事
  • 床下の防湿性を高める工事
  • 床下や屋根裏に点検口を取り付ける工事
  • 給水管や給湯管、排水管の維持管理をしやすくする工事

制度の適用条件

この制度を使うためには、次の要件を全て満たしていなければなりません。

  1. 本人の合計所得金額が3,000万円以下であること
  2. ローンの返済期間が5年以上であること
  3. リフォームをした家屋を本人が所有していること
  4. リフォームが完了してから6ヶ月以内に住んでいること
  5. リフォーム後の家屋の床面積が50㎡以上であること
  6. 4つのリフォームうちいずれかの費用が50万円を超えること
  7. 増改築等工事証明書が発行されたリフォームであること
  8. 特定個人に該当すること(バリアフリーのみ)

1.合計所得金額が3,000万円以下

合計所得金額3,000万円以下は言いかえると、1年間の給与の収入が3,220万円以下ということです。年収3,220万円を超える高所得者の人は制度の適用を一切受けられません。

事業所得や不動産所得など給与以外に所得がある人の合計所得金額についてはこちらのページでまとめています。

合計所得金額とは?計算方法など分かりやすく解説!

所得控除や譲渡、住宅の取得の特例には「合計所得金額」の計算が必要となるものがります。勘違いしやすいところで、合計所得金額が年収の合計だと思っ ...

2.返済期間が5年以上

ローンの返済期間が5年以上でなければ制度の適用を受けられません。返済期間が10年以上であれば、共働きの夫婦2人でローンを組んだときなど連帯債務の場合にも適用を受けることができます。

3.家屋を本人が所有している

本人が所有していれば、一戸建てだけでなくマンションでも使えます。

両親や祖父母が所有していたり借りている物件には適用を受けられません。

4.6ヶ月以内に住んでいること

リフォームが完了してから6か月以内に居住していなければならないので、空き家や別荘には適用できない制度です。

ただし、リフォーム前の状況は問わないので、購入した物件や空き家にリフォームをした後に住み始めたときには認められています。

5.床面積が50㎡以上

床面積は登記簿謄本で判断します2。50㎡未満のワンルームマンションなどは認められません。

6.いずれかのリフォーム費用が50万円超

  • バリアフリー工事
  • 多世帯同居工事
  • 断熱改修工事(特定断熱改修工事)
  • 特定耐久性向上改修工事

いずれかのリフォームが50万円を超えていなければなりません。

例えば、バリアフリー工事が40万円、他世帯同居工事が40万円の場合、合計では80万円を超えていますが、各リフォームでは50万円を超えていないので適用を受けることができません。

7.増改築等工事証明書

増改築等工事証明書とは、建築士や指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関などが作成する書類です。

証明書の発行については、リフォームの施工業者に問い合わせてみましょう。

8.特定個人

バリアフリー工事のみ「特定個人」に該当しなければなりません。「特定個人」とは次の6つのうちひとつでも当てはまれば対象となります。

リフォームが完了した家屋に居住した年の12月31日時点の状況で判断します。

  • 本人が50歳以上である
  • 本人が要介護認定または要支援認定を受けている
  • 本人が障害者3に該当する
  • 65歳以上の同居している親族がいる
  • 同居している親族が要介護認定または要支援認定を受けている
  • 同居している親族が障害者2に該当する

控除額の計算

計算式

控除額はその年の12月末時点のローン残高から計算します。計算式は次のとおりです。

計算式

  • その年の所得税の控除額(100円未満切捨)
    = A + B(最大12.5万円)
  1. 特定増改築の費用とローン残高のどちらか少ない金額 × 2% (最高5万円)
  2. ローン残高 × 1%(最高10万円)

住宅ローンの残高とは?

計算式にもある「住宅ローンの残高」とは、その年の12月31日時点のローンの残高を示しています。

1,000万円のローンを組んで、1年目に100万円の返済をすれば、1年目の残高は900万円です。3年目までに380万円の返済をすれば、3年目の残高は620万円です。つまり、返済を続ければ計算式のローンの残高は年々減っていきます。

5年超のローンを組んでいることも必要である

住宅ローンの年末残高がゼロであれば、控除額もゼロになってしまいます。したがって、5年間住宅ローン控除の適用を受けるためには、5年目までにローンを完済していないことも必要となります。

実際の返済額から残高は判断されるため、繰り上げ返済によって5年以内で完済してしまった場合には、完済した年から住宅ローン控除は使えなくなってしまうので注意してください。

引ききれない部分は住民税を減らさない

通常の住宅ローン控除では、控除額が年間の所得税額を上回った場合、その部分を住民税への差し引きが自動的に行われます。

一方、特定増改築等住宅借入金等特別控除では、所得税の引ききれない部分があっても住民税の減額は一切行われません。

制度の適用を受ける方法

確定申告をする

マイホームに居住し始めた日の翌年の2月16日から始める確定申告をすることによって、制度の適用が受けられ、控除が行われます。

取得してから居住するまでに年を越した場合には、居住し始めた年から確定申告を行います。

申告は5年間有効

所得税が戻ってくる確定申告は5年間も有効になっています。過去に行なったマイホームの取得も、資料が用意できるのであれば今からでも遅くないかもしれません。気になる人は税務署に確認してみましょう。
  税務署の所在地(国税庁webサイト)

また、一度確定申告書を提出してしまった人が、訂正を求める申告(更正の請求)も5年間有効です。

2年目以降は年末調整でも適用できる

初回の住宅ローン控除は確定申告をしなければなりませんが、2年目以降は、必要な書類を勤務先に提出することによって、扶養控除や生命保険料控除などと同じように年末調整でも住宅ローン控除の適用を受けることができます。

詳しくはこちらのページでまとめています。

【令和元年版】年末調整で住宅ローン控除の適用を受ける方法、書類の書き方、計算機付き!

年末調整で住宅ローン控除の適用の際に必要になる給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書の書き方についてまとめました。 もくじ1 ...

  1. 現在のところ、令和3年12月31日までにリフォーム後のマイホームに居住を始めたときに対象となりますが、今後の税制改正で期間が延長されるかもしれません。
  2. 個人事業主や中小法人の経営者など住宅の一部が事務所や作業場など事業の用に供している場合があります。この場合、次の2つの要件をどちらも満たしていなければなりません。
    ・リフォーム後の家屋の床面積の2分の1以上が生活スペース(居住の用に供する部分)である
    ・リフォーム費用の2分の1以上が生活スペース(居住の用に供する部分)にかかる費用である
  3. 障害者については障害者控除の適用を受けられるかどうかで判断します。 icon-chevron-circle-right 障害者控除とは?

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