【税理士監修】難しく複雑な税金制度を分かりやすく簡潔に!

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計算機 確定申告

特定支出控除の確定申告書の書き方、計算機付き!

給与所得者(会社員、サラリーマンやOLの人)の特定支出控除の特例の確定申告書の書き方についてまとめました1

30分程度で作成ができます。難しい計算は計算機を用意しているので、慣れていない人でも簡単に行なえます。

作成の前に

会社から証明書の記名と押印をもらう

制度の適用を受けるには、各経費についての証明書を勤務先に発行してもらう必要があります。証明書の雛形は国税庁のwebサイトでアップロードされています。
  給与所得者の特定支出控除に関する証明書

上の部分は本人が記入し、下の部分を給与支払者(勤務先)が記入します。

経費それぞれに証明書が必要になるので、証明書が複数になることもあります。

特定支出控除の制度について詳しくこちらでまとめています。

特定支出控除とは?必要な証明書、計算方法など分かりやすく解説!

給与所得者の特定支出控除の特例についてまとめてみました。もしかしたらサラリーマンのあなたも適用できる制度かもしれません。 特定支出控除とは? ...

帰宅旅費を使うとき

特定支出の中の帰宅旅費の適用を受けるときは、上のような勤務先からの帰宅旅費の証明書に加えて、「搭乗・乗車・乗船に関する証明書」が必要になります。

この証明書は使用した鉄道会社や航空会社、バス会社などから記名、押印をもらわなければなりません。雛形は一緒に用意されています。

用意するもの

申告書の作成では以下のものが必要になります。

  • 黒インクのボールペン
  • 申告書
  • 特定支出の対象になる領収書
  • 特定支出の証明書
  • 特定支出に関する明細書
  • 源泉徴収票
  • 印鑑(認め印で構いません)
  • 本人の身分証明書のコピー2(運転免許証など)
  • 本人のマイナンバーの通知カードのコピー3
  • 還付先の金融機関の口座番号
  • のり(もしくはセロテープ)
  • ホチキス

申告書

申告書はPDF形式で国税庁のwebサイトにアップロードされています。自宅やコンピ二などで印刷して用意しましょう。用紙はカラーになっていますが、白黒で印刷しても問題ありません。
 icon-chevron-circle-right 令和元年分確定申告書(国税庁PDFファイル)

  • 申告書第一表
  • 申告書第二表
  • 添付書類台紙

以上の用紙が必要になります。PDFファイルの中には控え用の申告書がありますが、必要ありません。

なお、申告書は税務署で受け取ることもできます。

特定支出に関する明細書

特定支出の明細を記入したり、控除額を求めるための専用の明細書で、必ず提出しなければならない書類です。告書と同様に国税庁のwebサイトにアップロードされています。
 icon-chevron-circle-right 給与所得者の特定支出に関する明細書(国税庁のPDFファイル)

自宅やコンピ二などで印刷してください。

確定申告書の書き方

特定支出に関する明細書

申告書の作成の前に特定支出に関する明細書の記入をして控除額の金額などを整理します。主に記入するのは一面と三面です。

明細書の三面

特定支出の対象となる領収書から、区分、内容、支払先、年月日、支払金額、補填される金額、負担金額を記入します。「補填される金額」とは会社からの負担額を指します。つまり、「差引金額」は本人の負担額です。

「特定支出の区分」は支出の種類に対応する数字を入れます。

特定支出の区分

  • 通勤費-1
  • 転居費-2
  • 研修費-4
  • 資格取得費-8
  • 帰宅旅費-16
  • 図書費-32
  • 衣服費-64
  • 交際費等-128

欄が足りないときは四面に記入します。

明細書の一面(1.特定支出の金額)

氏名と住所、申告の年分を記入して、経費ごとに特定支出をまとめます。勤務必要経費の合計⑨は最大で65万円になるので注意してください。

 

⑩に全体の合計額を記入します。

⑪は適用を受ける特定支出の区分の合計を計算します。計算機を用意しました。

明細書の一面(2.特定支出控除適用後の給与所得金額)

最後に特定支出控除額を求めます。計算式が複雑なので、こちらも計算機を用意しました。

源泉徴収票の支払金額と⑩特定支出控除の合計額を入力して、「計算ボタン」をクリックすると、⑫から⑰まで表示されます。

源泉徴収票の支払金額

左上の方にある金額です。

 

計算機で求めた金額を転記します。

これで特定支出に関する明細書の記入は完成です。

申告書第二表

次に申告書第二表を作成します。記入するブロックは5つあります。

扶養控除や配偶者控除、生命保険料控除などの記入は省略します。国税庁で認められている書き方です。

氏名など

氏名、住所を記入します。

申告の年分は「1」と記入します。源泉徴収票に記載されている年分と同じになります。

所得の内訳

源泉徴収票から3つの項目を転記します。

「㊳源泉徴収額の合計額」もそのまま記入しましょう。

 

同一生計配偶者

  • 本人の給与の年収が1,220万円を超える
  • 配偶者のパート収入が103万円以下

以上をどちらも当てはまるときに配偶者の情報を記入します。基本的には配偶者がいる人も記入しない欄です。

16歳未満の扶養親族

平成16年1月2日より後に生まれた子どもなどの扶養親族がいれば記入します。

ここは住民税に関する欄になるため省略できません。

特例適用条文等

「所法57の2 X円」と記入します。Xは明細書一面の「⑩特定支出の合計額」の金額です。

これで第二表は完成です。

申告書第一表

最後に第一表の記入をして還付金額を計算します。

税務署など

申告の年分は「1」と記入します。源泉徴収票に記載されている年分と同じになります。

管轄の税務署はその人の住所から定められています。国税庁のwebサイトで確認しましょう。
  税務署を調べる(国税庁webサイト)

日付は空欄にします。

住所

「住所」には現在住んでいるところを記入します。

「平成〇〇年1月1日の住所」には「31」を入れます。平成31年1月1日以降に引越しをしている場合には引越す前の住所を記入します。

住所が変わっていない場合は「同上」と記入します。

氏名など

氏名やマイナンバーなどの個人情報を記入して、押印します。印鑑は認印で構いません。

生年月日の先頭の数字は元号を表します。

  • 昭和 → 3
  • 平成 → 4 

電話番号は自分の携帯番号で構いません。

「整理番号」と「翌年以降送付不要」の欄には何も記入しません。

所得金額

特定支出に関する明細書の一面から転記します。数字やカタカナは第一表のものと対応しています。

区分は右詰めに記入します。

所得控除額

源泉徴収票の「所得控除の額の合計」を第一表の⑯と⑰に転記します。

ここでも扶養控除や配偶者控除、生命保険料控除など個別の記入は省略しますが、合計額があるので税金の計算には影響しません。

医療費控除などの年末調整では適用を受けられない控除を適用する場合には以下のページを参考にしながら記入してください。

税金の計算

ここまでの金額から所得税を計算します。申告納税額までは計算機を用意しました。3か所の黄色の欄に数字を入力して、計算ボタンをクリックすると桃色の欄の計算が行われます2

「㊳源泉徴収税額」とは、申告書第二表の所得の内訳の「源泉徴収税額の合計額」から転記をします。

申告書第二表

計算機で求めた金額を転記します。「㊵還付される税金」に金額が入らない場合はどこかで間違えています。見直してみましょう。

還付金の口座

「還付される税金」に金額が入った人は、所得税の還付金を受け取る金融機関の口座の情報を記入します3

申告する人が名義となっている口座を記入しないと還付の手続きができません。

銀行など

ゆうちょ銀行

ゆうちょ銀行の口座を記入する場合は口座番号だけを記入します。

これで申告書の作成は以上となります。

提出の準備

添付書類台紙の作成

申告書のPDFファイルに一緒に入っている「添付書類台紙」に住所や氏名、申告の年分を記入します。

以下の税務署に提出する書類をのりで貼り付けます。

  • 源泉徴収票
  • 身分証明書のコピー
  • マイナンバー通知カード

添付書類台紙は2ページありますが、1ページ目だけを使います。

特定支出に関する明細書にのり付け

明細書の二面

勤務先から発行してもらった証明書を全て貼り付けます。

明細書四面

特定支出の対象になる支払いの領収書を全て貼り付けます。

ホチキス留め

申告書の左上をホチキスで留めます。上から

  • 第一表
  • 第二表
  • 特定支出に関する明細書
  • 添付書類台紙

となるように書類を揃えてから留めてください。

申告書の提出

第一表に記入した税務署に完成した申告書を提出します。

  • 郵送で提出する
  • 税務署で直接提出する

提出の方法は2つあります。自宅から税務署までが遠い人や税務署まで行く暇がない人は郵送による提出をしましょう。

詳しくはこちらのページでまとめています。

郵送での確定申告書の提出の方法とは?提出先や期限は?消印有効?

郵送による確定申告書の提出方法についてまとめてみました。税務署が自宅から遠くにある人、税務署まで行く暇がない人はぜひおさえておきましょう。 ...

  1. 給与所得以外に所得がある場合は対応していません。
  2. この計算機は住宅ローン控除などの税額控除がある人には対応していません
  3. 還付金は現金で受け取ることもできますが、手間がかかってしまうので、口座で受け取る方法をおすすめします。 icon-chevron-circle-right 還付金を現金で受け取る方法

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