所得税の減税制度のひとつである寄附金控除についてまとめてみました。
寄附金控除とは?
寄附をしたときに適用できる
国税庁のwebサイトには以下のように記載されています。
1 寄附金控除の概要
納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合には、所得控除を受けることができます。出典 国税庁 No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1150.htm
「特定寄附金」に当てはまる寄附をしたときに所得税の優遇を受けるという制度です。平成30年に行った寄附は平成30年にかかる税金だけが対象となります。
特定寄附金とは?
寄附金控除の対象となる寄附金(特定寄附金)は以下の機関や法人に行ったものです。
- 国、地方公共団体(ふるさと納税や災害義援金)
- 公益財団法人、公益社団法人、独立行政法人、社会福祉法人、更生保護法人、学校法人
- 政党、政治資金団体
- 特定非営利活動法人(認定NPO法人)
- 特定公益信託に支出した金銭
- 特定新規株式を払込により取得したときの取得金額 など
ユニセフや日本赤十字社に行った寄附金も対象となります。災害義援金は寄附先によっては対象にならないこともあるので注意してください。
受領証明書で判断
寄附を行うと寄付先から寄附金受領証明書や領収書が発行されます。
特定寄附金のときは領収書や受領書に「所得税の~」という文言が記載されています。
対象になるかどうか判断できないときは、その寄附を行った法人や機関に問い合わせましょう。
対象とならない寄附
以下への寄附は控除の対象にはなりません。
- お寺や神社
- 宗教法人1
- 認定を受けていないNPO法人 など
NPO法人の認定を受けているかどうかは、内閣府のwebサイトで確認することができます。
所轄庁認定・特例認定NPO法人名簿(内閣府webサイト)
本人が行った寄附だけ対象になる
医療費控除などとは異なり、控除の対象となる特定寄附金は本人が行ったものに限ります。配偶者や家族が行った寄附は対象にすることはできません。
控除額の計算方法
所得税の計算式
寄附額がそのまま控除額とはならず、決められた計算式から求めます。
計算式
- 控除額 = 特定寄附金の額 - 2,000円
特定寄附金の額は総所得金額等の40%を限度とする
所得に対して多額の寄附を行っているときは限度額が設けられています。
寄附金税額控除と選択で適用となる
所得税には寄附金控除の他に3種類の寄附金特別控除があります。
- 政党等寄附金特別控除
(政党、政治資金団体への寄附) - 認定NPO法人等寄附金特別控除
(認定NPO法人、特例認定NPO法人への寄附) - 公益社団法人等寄附金特別控除
(公益社団法人、公益財団法人、学校法人、社会福祉法人などへの寄附)
寄附金特別控除と寄附金控除の適用を一緒に受けることはできません。以上の特別控除の対象となる寄附金があるときには、シュミレーションをして減税額が大きい方を選択しましょう。
ちなみに、対象となる寄附金があれば、寄附金特別控除同士で組み合わせて適用することは可能です。
住民税の寄付金控除について
所得税の寄付金控除と住民税の寄付金控除では対象となる寄附金や計算式が異なります。所得税で適用を受けられる寄附金であっても、住民税では適用を受けられないこともあります。
詳しくはこちらのページでまとめています。
寄附金控除の適用を受ける方法
ただ支払いをしているだけでは減税を受けることはできません。確定申告で手続きを行うことによって適用が受けられます。
確定申告で受ける
翌年の2月3月ごろに自分で確定申告書を作成して税務署に提出します。申告書第一表と第二表に必要事項を記入することによって適用を受けることができます。
書類の書き方についてはこちらでまとめています。
受領証明書や領収書が必要になる
その年に寄附を行ったことを明らかにするために、寄付先から受け取った証明書や受領書の原本を申告書と一緒に税務署に提出しなければなりません2。
住民税の寄付金控除も受けられる
行った寄附が所得税だけでなく住民税の減税の対象になるときは、申告書第二表の住民税の欄に必要事項を記入することによって、自動的に住民税の寄付金控除も行われます。
年末調整では受けられない
生命保険料控除や地震保険料控除は年末調整でも適用を受けることができますが、寄付金控除は年末調整で適用を受けることができません。
適用を受けるには会社員の人であっても確定申告をする必要があります。
ふるさと納税は例外
ふるさと納税の場合は、ワンストップ特例制度の適用を受けると、所得税分の減税額も住民税から差し引かれます。結果として、確定申告をしなくても、したときと同じ金額の控除が受けられます。