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所得税

公益社団法人等寄附金特別控除とは?有利判定の計算機付き!

所得税の減税制度のひとつである公益社団法人等寄附金特別控除についてまとめてみました。

寄付金控除との有利判定の計算機も用意しています。

公益社団法人等寄附金特別控除とは?

法人や組織への寄附

公益社団法人などの法人や組織に寄附を行ったときに、所得税の減税ができるという制度です。

平成30年に行った寄附は平成30年にかかる税金だけが対象となります。

対象となる寄附金

公益社団法人だけでなく、学校法人など広い範囲で対象となっています。

  • 公益社団法人
  • 公益財団法人
  • 社会福祉法人
  • 更生保護法人
  • 学校法人
  • 国立大学法人
  • 公立大学法人
  • 独立行政法人国立高等専門学校機構
  • 独立行政法人日本学生機構

ユニセフも公益財団法人にあたるため対象となります。一方、日本赤十字社への寄附は対象になりません。

対象となる寄附には、寄附先から「税額控除対象法人であること」が記載されている受領証明書が送られてきます。

本人が行った寄附だけ対象になる

医療費控除などとは異なり、控除の対象となる寄附は本人が行ったものに限ります。配偶者や家族が行った寄附は対象にすることはできません。

寄付金控除と一緒に適用できない

公益社団法人等への寄附金は通常の寄付金控除でも適用することもできますが、公益社団法人等寄附金特別控除と一緒に受けることはできません。必ずどちらかの適用になります。

シミュレーションをして所得税の減税額が大きくなる方を選択して適用するのが一般的です。ページ下に公益社団法人等寄附金特別控除と寄付金控除の判定機を用意しています。

どちらを適用しても住民税の寄付金控除は受けられる

住民税の寄付金控除の対象になる公益社団法人等への寄附だったり、他にもふるさと納税などの寄附がある場合には、寄付金控除と公益社団法人等寄附金特別控除のどちらを適用しても、住民税の寄付金控除は受けることができます。

公益社団法人等への寄附が住民税の寄付金控除の対象になるかどうかは、その人の住んでいる市区町村、都道府県によって異なります。役所や役場に問い合わせてみましょう。

寄附金特別控除とは一緒に適用できる

寄附金特別控除は公益社団法人等以外にも2種類あります。

以上の制度は公益社団法人等寄附金特別控除と一緒に適用を受けることができます。

控除額の計算方法

計算式

「公益社団法人等以外の特定寄附金1」があるかどうかによって計算式が変わります。「公益社団法人等以外の特定寄附金」とは具体的にふるさと納税や災害義援金などがあります。

公益社団法人等寄附金だけ

  • 控除額(100円未満切捨て)
    =(公益社団法人等寄附金 - 2,000円)✕ 40%

・控除額は所得税額の25%を限度とする。
・公益社団法人等寄附金の額は総所得金額等の40%を限度とする。

+ 総所得金額等とは?

総所得金額等とはその人の所得から計算される金額です。

給与収入しかない会社員の人はこちらの計算機から求められます。

給与以外に所得がある人の総所得金額等についてはこちらのページでまとめています。

公益社団法人等寄附金以外の特定寄附金もある

  • 控除額(100円未満切捨て)
    ={ 公益社団法人等寄附金 -(2,000円 - 公益社団法人等以外の特定寄附金)}✕ 40%

・控除額は所得税額の25%を限度とする。
・公益社団法人等寄附金の額は総所得金額等の40%から公益社団法人等以外の特定寄附金を差し引いた金額を限度とする。
・(2,000円 - 公益社団法人等以外の特定寄附金)は0以下のときは0となる。

+ 総所得金額等とは?

総所得金額等とはその人の所得から計算される金額です。

給与収入しかない会社員の人はこちらの計算機から求められます。

給与以外に所得がある人の総所得金額等についてはこちらのページでまとめています。

細かいところで限度額が設けられているので、ややこしいですが、基本的には公益社団法人等寄附金の40%程度が控除額となります。

認定NPO法人等寄附金特別控除と一緒に適用するとき

公益社団法人等寄付金特別控除と認定NPO法人等寄附金特別控除を一緒に適用を受ける場合、2つの控除額の合計に限度額が定められていて、所得税額の25%までとなります。

寄付金控除との有利判定

公益社団法人等寄附金特別控除と寄付金控除でどちらの適用を受けたら減税額が大きくなるかの判定機です。

あらかじめ行うこと

寄付金控除、公益社団法人等寄附金特別控除の適用をしない状態で、申告書第一表の左半分の赤で塗りつぶしたところまでの計算をします。

判定では赤枠で囲った「所得金額の合計」と「所得から差し引かれる金額の合計」を使います。

申告書A

申告書B

判定の方法

寄附金の額と「所得金額の合計」と「所得から差し引かれる金額の合計」を入力して、計算ボタンをクリックすると、それぞれの控除の適用を受けたときの減税額の試算と判定が行われます2

寄附金の額は「公益社団法人等寄附金」と「公益社団法人等以外への寄附金」に分けて入力をしてください。「公益社団法人等以外への寄附金」とはふるさと納税などが当てはまります。

他の特別控除を併用で適用するときの判定

政党等寄附金特別控除や公益社団法人等寄附金特別控除と一緒に適用を受けるときの判定はこちらのページでまとめています。

公益社団法人等寄附金特別控除の適用を受ける方法

確定申告で受けられる

翌年の2月3月ごろに自分で確定申告書を作成して税務署に提出します。申告書第一表と第二表、寄附金の明細書に必要事項を記入することによって適用を受けることができます。

書類の書き方についてはこちらでまとめています。

証明書必要になる

その年に寄附を行ったことを明らかにするために、寄付先から受け取った受領証明書の原本を申告書と一緒に税務署に提出しなければなりません3

住民税の控除も行われる

住民税の対象となる公益社団法人等の寄附やふるさと納税などがあるとき、確定申告をすれば自動的に住民税の寄附金控除まで行われます。

  1. 特定寄附金とは通常の寄付金控除の対象になる寄附金です。詳しくはこちらのページでまとめています。 icon-chevron-circle-right 寄付金控除とは?
  2. 申告書第三表や損失の繰越控除などがあるときは正しく判定されないことがあります。
  3. e-Taxによる電子申告の場合には、寄附金の受領証等の記載事項を申告書と一緒に提出することによって、証明書原本の提出が免除されます。

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