住民税の寄附金控除についてまとめました。所得税の寄附金控除とは異なるところがあります。適用の仕方や計算式など説明しています。
住民税の寄附金税額控除
寄附をしたときに適用できる
特定の法人や機関、団体に寄附をしたときに住民税の優遇を受けるという制度です。令和元年に行った寄附は令和2年の住民税で控除が行われます。
対象となる寄附金
住民税の控除の対象となる寄附金は大きく分けて以下の5つになります。
- 都道府県・市区町村への寄付金(ふるさと納税)
- 住所地の都道府県共同募金会及び日本赤十字社支部への寄付金
- 住所地の都道府県が条例で指定した寄付金
- 住所地の市区町村が条例で指定した寄付金
- 住所地の都道府県、市区町村の両方が条例で指定した寄付金
AからEのアルファベットはページ下の表と対応しています。
条例で指定した寄附金とは
次のような法人への寄附金は、各都道府県や各市区町村が個別で指定している機関でないと住民税の寄附金控除の対象とすることはできません。
- 国公立大学法人
- 独立行政法人
- 特殊法人
- 公益財団法人
- 公益社団法人
- 学校法人
- 社会福祉法人
- 更生保護法人
- 認定NPO法人
これらの寄附金は基本的に所得税の寄附金控除の対象です。つまり、住んでいる都道府県や市区町村で指定されていない寄附金の場合は、所得税の減額は行われますが、住民税の減額は行われません。
対象となる寄附金かどうかは、都道府県や市区町村のホームページで確認することができますが、自治体によっては記載していないところもありますので、その場合は直接問い合わせをしましょう。
計算式
住民税の寄附金控除額の計算式は次のようになります。
計算式
- 控除額(総所得金額等の30%が限度額)=
(寄付した金額 - 2,000円 )✕ 控除率
控除率については、上の5つに分けた寄付金ごとに異なります。
分類 | 控除率 |
A | 10% |
B | 10% |
C | 4%(※2%) |
D | 6%(※8%) |
E | 10% |
※政令指定都市に住む人寄付金の控除率はCが2%、Dが8%です。政令指定都市以外の市区町村に住む人はCが4%、Dが6%です。
ふるさと納税の寄附金控除について
ふるさと納税の寄附金控除は上記の計算に加えて、さらに特例の計算があります。
詳しくはこちらのページでまとめています。
所得税の寄附金控除との違い
医療費控除や雑損控除などは所得税と住民税での適用の方法など全て同じですが、寄附金控除はいくつか異なる点があります。
対象となる寄附金
ふるさと納税など所得税や住民税どちらも対象となる寄附金もあればそうでない寄附金もあります。
学校法人や公益社団法人などへの寄附金
ページ上でも示しましたが、学校法人や公益社団法人、社会福祉法人などへの寄附金は住んでいる都道府県や市区町村が認めたもののみが対象となります。
そのため、住民税の対象とならない寄附金は、所得税の減額はできても住民税の減額はできません。
国や政党への寄附金
国や政党、政治活動への寄附金は所得税の寄附金控除の対象になっていますが、住民税の寄附金控除の対象にはなっていません。所得税だけの減額となります。
計算方法
所得税の寄附金控除は所得控除と税額控除の2種類がありますが、どちらも計算方法は住民税の寄附金控除と異なります。
詳しくはこちらのページでまとめています。
- 寄附金控除(所得控除)
- 寄附金税額控除
・政党等寄附金特別控除
・認定NPO法人等寄附金特別控除
・公益社団法人等寄附金特別控除
所得税の寄附金控除は、所得控除と税額控除のどちらかの適用となります。基本的にシミュレーションをして減税額が大きくなる方を選択します。
寄附金控除の適用を受ける方法
寄附をするだけでは減税を受けることはできません。基本的に確定申告で手続きを行うことによって適用が受けられます。
確定申告で受ける
確定申告は所得税の申告ですが、申告書の住民税の欄に必要事項を記入して提出すると、その申告書のデータが税務署から住んでいる役所に送られ、自動的に適用が受けられるようになっています。つまり、確定申告をするだけで住民税の寄附金控除の適用もできます。
申告書の書き方についてはこちらのページでまとめています。
住民税の寄附金控除の記入は非常に見落としやすいので注意しましょう。
ふるさと納税のワンストップ特例制度
会社員や年金受給者の人でふるさと納税をしている人はワンストップ特例制度を適用すると、確定申告をせずに所得税と住民税の寄付金控除を受けることができます。