利子税についてまとめてみました。自動計算機も用意しています。
利子税とは?
延納や申告期限の延長の利息
利子税とは、次のような手続きで本来の期限を過ぎて納税したときに追加でかかる税金です。
- 延納したとき(所得税、相続税、贈与税)
- 物納したとき(相続税、贈与税)
- 申告期限の延長をしたとき(法人税)
- 納税猶予をしたとき(相続税)
つまり、納付の期限を延ばしたときにかかる利息のような税金です。期限内に納付している人とのバランスをとるために設けられています。
延滞税との違い
利子税は正当な手続きを経て期限を延ばしたときにかかる税金である一方、延滞税は手続きなく期限を過ぎて納税したときにかかる税金です。上記の手続きを行わずに遅れた納税は全て延滞税の対象になります。
延滞税はペナルティの意味合いもあるので利子税よりも税率が高くなっています。期限に間に合わないとあらかじめ分かっている場合は、延納や申告期限の延長の手続きをした方が追加でかかる税金を減らすことができます1。
延滞税についてはこちらのページでまとめています。
手続きで延ばした期間を過ぎると延滞税がかかる
手続きを行った延納や申告延長の期間以降は延滞税の対象になります。つまり、延納や申告延長の期間を過ぎてしまうと、利子税と延滞税の両方がかかってしまうことがあります。
経費に入れることができる
個人の場合
事業所得や不動産所得などの会計処理では「租税公課」で仕訳を切ります。延滞税とは違い利子税は経費に入れることができる税金です。
個人の仕訳
- 租税公課 50,000/現預金 50,000
法人の場合
法人の会計処理では「租税公課」で仕訳を切ります。法人の場合も経費に入れることができます。
法人の仕訳
- 租税公課 50,000/現預金 50,000
税率や計算式
期間を延ばした部分が対象となる
利子税の計算は、手続きで延ばした税額が対象になります。納税額の一部を本来の期間までに納付している場合は、あとから納付した部分だけが対象になります。
1万円未満は切り捨てる
利子税の計算では、上記の税額の1万円未満を切捨てします。65,700円の場合、65,000円で計算されます。つまり、手続きで延ばした税額が1万円未満なら、納付までの日数に関係なく利子税は免除されます。
税率
税率は日本銀行の約定平均利率から算出されており、毎年12月ごろに翌年1年間の税率が発表されます。延滞税のように期間によって税率が2つに分かれません。
年分 | 税率 |
令和2年 | 年1.6% |
平成31年(令和元年) | 年1.6% |
平成30年 | 年1.6% |
平成29年 | 年1.7% |
平成28年 | 年1.8% |
平成27年 | 年1.8% |
ただし、相続税や贈与税で何年にもわたって延納をする場合には、上記の税率とは異なることがあります。
計算式
次の計算式で利子税を求めます。
計算式
- 延滞税 = 税額 × 税率 × 日数 ÷365
単利計算です。利子税に利子税がかかることはありません。
所得税の利子税について詳しくこちらのページでまとめています。
利子税1,000円未満は免除になる
利子税は国税の中でも附帯税の一つに含まれます。計算には次のようなルールがあります。
第九章 雑則
(国税の確定金額の端数計算等)
第百十九条
4 附帯税の確定金額に百円未満の端数があるとき、又はその全額が千円未満(加算税に係るものについては、五千円未満)であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。
つまり、計算した結果、利子税が1,000円未満になった場合は免除されます。
自動計算機
税率が年1.6%の計算機を用意しました。延納や申告期限延長をした税額と日数を入力すると利子税が表示されます。
[CP_CALCULATED_FIELDS id="117"]
納税の方法
通知書が送られてくる
利子税がかかる場合は、税務署から利子税の通知書が送られてきます。同封されている納付書を持参して、金融機関や税務署の窓口で現金や預金で納税をします。
税務署が計算を行う税金です。通知書送られてこなかった場合は利子税がかからなかったということです。
クレジットカード納付もできる
納税は専用の国税のサイトからクレジットカードで行うことも可能です。詳しくはこちらのページでまとめています。
- 法人税で申告期限の延長の手続きをすれば、期限内申告の扱いとなるため、青色申告などで不利益を被ることはありません。 ↵