所得税の延納制度についてまとめてみました。確定申告後すぐに納税ができない人にはおさえておきたい制度です。
所得税の延納制度とは?
所得税額の半分を延期できる制度
本来、確定申告後の所得税の納付期限は、申告書の提出期限と同じ3月15日です。
延納とは、3月15日までに納付すべき所得税の最大半分の税額を5月31日までに延期できる制度です。制度を適用したからといって全額は延納することはできず、半分以上の金額は3月15日までに納めなければならないので注意してください。
振替納税を申請している場合
振替納税の申請をしている人が延納制度を適用すると、4月20日ごろに引落される納税額の最大半分の税額を5月31日の引落しに延期することができます。
ただ振替納税でも同様に、所得税額の半分以上の金額は4月20日に引き落とされるので注意してください。
振替納税の概要や申請などについてはこちらでまとめています。
延納にかかる利子税とは?
利子税がかかることがある
延納制度の適用によって、延滞税がかかることはありませんが、延納額によっては利子税という税金がかかることがあります。
利子税の税率は年1.6%で延納した所得税額や延納日数から計算されます。利子税は税務署で計算されます。
計算式
- 利子税(100円未満切捨) =
延納額(1万円未満切捨)× 1.6% × 77日 / 365日
3月15日から5月31日までを77日としています。計算した結果、利子税が1,000円未満の場合には免除されます。
延納額が30万円ほどで1,000円の利子税がかかります。
延滞税より利率が低い
利子税の利率が年1.6%なのに対し、延滞税の利率が年2.6%です。延納することによって利子税がかかってしまうことがありますが、延滞税よりは低くなっています。
自動計算機
所得税の延納にかかる利子税の自動計算機を用意しました。延納税額を入力すると利子税が表示されます。
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利子税は経費にできる
事業所得や不動産所得がある人は、延納の利子税を必要経費に入れることができます。
一方、延滞税は必要経費に入れることができません。
延納の申請する方法
延納額を決める
申告書第一表の「納める税金」から延納する税額を決めます。
延納する税額は「納める税金」の半分以下の金額でなければなりません。こちらの計算機で求めることができます。
「納める税金」の半分以下の金額であれば、1,000円単位で自由に決めることができます。
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申告書に記入する
申告書第一表の右下に「延納する税額(延納届出額)」と「申告期限までに納付する金額」を記入します。
「申告期限までに納付する金額」と「延納届出額」の合計額が「納める税金」になっているか確認しましょう。
申告書を期限内に提出する
通常通り、税務署に確定申告書を3月15日までに提出すれば延納の手続きが行われます。
「申告期限までに納付する金額」を納める
同時に3月15日までに「申告期限までに納付する金額」の納付を行います。所得税の納付の方法についてはこちらのページでまとめています。
振替納税を申請している人は4月20日ごろに指定した口座に自動引落しされるので、口座の残高が不足していないようにしましょう。
延納税額と利子税
5月中旬ごろにお知らせが届く
延納の処理が行われると、5月の中旬ごろに税務署からお知らせが届きます。納付書が同封されていて、5月31日までに延納分の税額を各自で納めます。
クレジットカード納付をすれば、実質的な負担をさらに延ばすことができます。
振替納税を申請している場合
振替納税を申請している人は、5月31日に自動引落しが行われるという案内が届きます。
利子税がかかる人
利子税がかかる人は、お知らせに利子税の額も記載されています。記載がない場合は利子税がかからなかったということです。