【税理士監修】難しく複雑な税金制度を分かりやすく簡潔に!

そよーちょー通信

所得税

競馬などの公営ギャンブルの税金と確定申告が必要になる人についてわかりやすく解説!

全国各地には、競馬、競輪、競艇、オートレース、4つの公営競技(公営ギャンブル)があります。賭博の大当たりで多額の払戻金を受け取ったとき、確定申告が必要になるのかまとめてみました。

払戻金と所得

払戻金は一時所得

国税庁のwebサイトには以下のように記載しています。

1 一時所得とは
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。
この所得には、次のようなものがあります。

  1.  懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)
  2.  競馬や競輪の払戻金
    (以下略)

出典 国税庁 No.1490 一時所得 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1490.htm

このように払戻金は一時所得という所得に区分され1、宝くじの当選金のような非課税の所得ではありません。場合によっては確定申告が必要になる所得です。

一時所得の計算方法

確定申告が必要になるかどうかは一時所得の金額で判断します。一時所得は次の計算式で求めていきます。

計算式

一時所得 =(収入金額 - 必要経費 - 50万円)×0.5 

公営ギャンブルの払戻金にかかる収入金額と必要経費は以下のとおりです。

  • 収入金額 → 払戻金
  • 必要経費 → その払戻金の投票券代(賭け金)

必要経費になるのは、払戻金にかかる賭け金のみになります。ハズレ券の賭け金は必要経費にはなりません。

一時所得にかかる税金

上の計算をした結果、一時所得がプラスの金額になるとき、所得税と住民税がかかってきます。

  • 所得税 → 一定ではない
  • 住民税 → 一時所得の10%

一時所得の所得税は、その人の給与所得や事業所得によって大きく変わってくるので、実際に確定申告を作成しないと分かりません。その人の所得によって5%から45%までの間で変わります。

確定申告が必要になる人

一時所得がマイナスやゼロのときは、それにかかる税金も発生しないため、申告する必要はありません。一時所得がプラスになるとき申告が必要になります。

年間50万円までは申告する必要はない

一時所得の計算で50万円を差し引くことができるので、儲かった金額(収入金額-必要経費)が1年間で50万円以下なら確定申告をする必要は一切ありません。

ただし、ハズレ券の賭金は必要経費に入れることはできません。ハズレ券が多い場合は、年間のギャンブルの収支がマイナスであっても確定申告が必要になることもあるので注意しましょう。

会社員や年金受給者は年間90万円までは申告する必要はない

国税庁は会社員(給与所得者)の確定申告について以下のルールを設けています。

No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人

2  1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人

出典 国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm

つまり、給与以外の所得が公営ギャンブルの払戻金だけの場合は、一時所得の金額が20万円を超えるとき確定申告をしなければなりません。つまり、儲かった金額(収入金額-必要経費)が1年間で90万円以下なら確定申告をする必要は一切ありません。

年金受給者についても同様のルールが設けられています。

1年間で給与や一時所得以外にも所得があるときは、その所得と一時所得を合計したとき20万円を超えるかどうかで判断します2

医療費控除や住宅ローン控除の申告をするとき

会社員や年金受給者の人でも医療費控除や住宅ローン控除などで還付を受けるために確定申告をすることがあります。このような場合には、20万円かどうかにかかわらず、一時所得がプラスになっていれば必ず申告に記入しなければなりません。

確定申告書の書き方

払戻金の確定申告書の書き方についてはこちらのページでまとめています。

あらかじめ、払戻金とその賭け金の年間の合計をまとめておくようにしましょう。

ハズレ券と必要経費について

ハズレ券が必要経費になる場合も

上で説明したとおり、基本的にはハズレ券の賭金は必要経費にはなりません。

世の中にはソフトウェアや独自の勝ちパターンを駆使して、公営ギャンブルで儲け続ける人がいるそうです。このような営利目的で公営ギャンブルをしている人は、所得の区分が一時所得から雑所得に変わり、ハズレ券も必要経費に入れることができます。

 icon-chevron-circle-right 競馬の馬券の払戻金に係る課税について(国税庁webサイト)

営利目的の判断基準

  • 継続的に賭けているか(年間ほぼ全レース賭けているか)
  • 独自の情報やシステムで偶然性をなくす方法、理論なのか

明確な判断基準はありませんが、限りなく偶然性を排除した方法で継続的に行っているかが重要になります。

趣味や付き合い、遊びなどで賭ける人がほとんどなので、営利目的に該当する人はほとんどいないと思いますが、雑所得でハズレ券を必要経費にしたい場合は、税務署などで確認してから申告するようにしましょう。

税務署は平日の8時半から17時までなら電話でも問い合わせをすることができます。
  税務署の所在地(国税庁webサイト)

  1. 国税庁のwebサイトには競馬と競輪しか記載されていませんが競艇、オートレースも一時所得に該当します。
  2. この20万円の特例は所得税の確定申告だけの制度です。一時所得がプラスになっていれば住民税の申告をする必要があります。 icon-chevron-circle-right 会社員の住民税の申告 icon-chevron-circle-right 年金受給者の住民税の申告

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