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競馬などの公営ギャンブルの確定申告をしなくてもバレないのか?

全国各地には、競馬、競輪、競艇、オートレース、4つの公営競技(公営ギャンブル)があります。高額払戻金を受け取ったとき申告をしなくてもバレないのかまとめてみました。

公営ギャンブルと確定申告

場合によっては確定申告をしなければならない所得

宝くじやロトくじ、サッカーくじの当選金には一切税金はかかりません。つまり、当選金がたとえ1億円であったとしても確定申告をする必要はありません。

一方、競馬や競輪などの公営競技(公営ギャンブル)の払戻金は一時所得という所得に区分され、払戻金に対して所得税と住民税がかかってくることがあります。高額の払戻金を受け取ったときには確定申告をしなければなりません。

確定申告の判定についてはこちらのページでまとめています。

現在の申告の状況

日本経済新聞にこのような記事がありました。

検査院が2015年に1回の払戻金が1050万円以上だったケースを公営ギャンブル主催者から聞き取ったところ、計約530口、約127億円の払戻金があった。

一方、15年分の確定申告で1千万円以上の一時所得や雑所得を税務申告した全国の約1万8200件を調べると、1050万円以上の払戻金を得た人から申告されたとみられるのは五十数件、約20億円にとどまった。

出典 日本経済新聞 平成30年10月10日 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36300530Q8A011C1602000/

約530口に対して、わずか50件程度しか申告している人はいません。1年間で約100億円にかかる所得税や住民税が脱税されています。

未申告でもバレにくい仕組みになっている

  • 払戻金を現金で受け取ることができる
  • 払戻金を受け取るとき住所や氏名を申告する必要がない

公営ギャンブルの払戻金にはこのような性質があるため、国税庁や税務署としても高額払戻金を受け取った人を全て確認することができません。そのため、確定申告をするべき人が未申告でもバレにくい状況になっています。

高額な払戻金を受け取った人に対して「適正な納税を呼びかける」といった程度の対策しか現在はできていません。

土地建物や相続では未申告、脱税ができない仕組みである

土地や建物の贈与を受けたり売却をしたりしたときは、不動産の登記簿謄本の名義が変更され、税務署はそれを確認することができます。そのため、誰が申告をしていない、脱税をしているかということを見つけ出すことができます。

家族が亡くなって相続を受けたとき、住民票の除票を税務署は確認することができるため、誰が申告をしていないか見つけ出すことができます。また、金融会社は亡くなった人の資産状況、保険会社は死亡保険金の支払額を税務署に申告しているため、金融財産や死亡保険金の脱税も見逃していません。

公営ギャンブルの脱税を防ぐためには、このような網羅的な仕組み作りが重要になってきます。「〇〇円以上の払戻金を受け取るときには身分を明かさなければならない」などの制度が今後設けられるかもしれません。

インターネットで購入している人

最近ではインターネットで賭けることができるようになりました。金融機関の口座を通じて購入や払戻金の受け取りができます。

今後はマイナンバーで本人と預金の紐づけができるようになっていくので、税務署としても預金で払戻金を受け取っている人は簡単に見つけ出しやすくなりそうです。

ただインターネットで購入する人は一部の人なので、完全な対策にはなりません。

バレないから脱税していいというわけではない

100%逃げ切れるわけではない

現金で受け取ったからといって100%逃げ切れるわけではありません。預金の動きやタレコミ、密告などで国税庁や税務署が動くこともあります。

あとから脱税がバレると、本来納めるべき所得税や住民税に加えて、延滞税や無申告加算税、重加算税などの大きなペナルティが課されてしまいます。

悪質なケースだと刑事罰に発展することもあります。最近では競馬で6,200万円の脱税をしていたとして刑事裁判になっています。

競馬の配当で得た所得を申告せず約6200万円を脱税したとして、所得税法違反の罪に問われた大阪府寝屋川市固定資産税課の元課長、中道一成被告(48)の控訴審判決が7日、大阪高裁であった。樋口裕晃裁判長は懲役6月、執行猶予2年、罰金1200万円とした一審の大阪地裁判決を支持、被告側の控訴を棄却した。

出典 日本経済新聞 平成30年11月8日 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37508170Y8A101C1000000/

手本となるべき国税庁の職員が大きな脱税をしていたとして大きな注目を集めました。

脱税であることには変わりない

申告をするべき人がしないというのは、立派な脱税行為です。

現在の公営ギャンブルの払戻金の制度では、本人の善意に委ねている部分が多いですが、適切な納税をするようにしましょう。

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