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住民税

住民税の地域差はどれくらいあるのか?

所得税とは違い、住民税は同じ所得であっても住んでいるところによって金額が異なります。全国で住民税が高いところと低いところでどれくらいの差があるのかまとめてみました。

均等割と所得割の地域差

住民税は均等割と所得割に分かれていて、それぞれに地域差があります。

均等割

均等割とは住民税にかかる人に等しい金額が課される税金です。

こちらのページで都道府県ごとの均等割額をまとめておりますが、一番高い地域は宮城県と神奈川県横浜市の6,200円です。一方、一番低い地域は多数ありますが5,000円となっています。

一番高いところ 一番低いところ
6,200円 5,000円
  • 宮城県
  • 神奈川県横浜市
  • 北海道
  • 埼玉県
  • 東京都
  • 福井県
  • 香川県
  • 青森県
  • 千葉県
  • 新潟県
  • 徳島県
  • 沖縄県

差は1,200円しかない

一番高いところと低いところの差は1,200円です。正社員で働いている人なら住民税は年間20万円、30万円以上となります。均等割は住民税の地域差はあるものの、全体から見ればわずかな差でしかありません。

所得割

所得割とは前年の所得金額から税率をかけて計算する税金です。所得が高ければ比例して所得割も高くなります。

全国ほぼ全て標準税率の10%となっておりますが、一部地域に限り10%ではありません。

地域 税率
神奈川県 全て 10.025%
名古屋市 9.7%
豊岡市 10.1%
それ以外の全ての市区町村 10%

一番高いところは豊岡市の10.1%、低いところは名古屋市の9.7%でその差0.4%です。

かつては夕張市が一番高い税率だった

財政難に陥っていた北海道夕張市の所得割の税率は10.5%で全国でダントツで一番高い地域でした。しかし、平成29年より税率を10%に引き下げており、他の全国の地域と同じになっています。

個人住民税
(略)
なお、本市は平成19年度から超過税率を採用しておりましたが、財政再生計画の見直しを行い、平成29年度より標準税率としております。

出典 夕張市 市税の種類 https://www.city.yubari.lg.jp/kurashi/shizei/shizeisyurui/sizeisyurui.html

住民税額の比較

3つの地域で比較

所得割と均等割を合計した住民税額の比較をしてみたいと思います。比較対象は所得割の税率が一番高かった豊岡市と税率が一番低かった名古屋市、税率10%の東京都とします。

所得割の計算のための所得金額は250万円とします。扶養親族や配偶者がいるかどうかによっても異なってきますが、年収500万円から600万円くらいの人が該当してくる所得金額です。

地域 名古屋市 豊岡市 東京都
均等割額 5,300円 5,800円 5,000円
所得割額 242,500円 252,500円 250,000円
合計(住民税額) 247,800円 258,300円 255,000円

※調整控除は含めておりません。

1万円程度しか変わらない

年収500万円から600万円くらいの人の住民税であっても1万円程度しか地域差はありません。会社員の人は住民税を12分割で納めているため1か月あたりでは830円程度の差です。

ほとんどの地域は標準税率の10%となっているため、所得割額は東京都と同じです。その他均等割で1,000円程度の差しか発生しません。

地域差はほとんどない

地域によって住民税の金額は変わってきますが、わずかな差にしかなりません。年収がこれよりも低ければ地域差はもっと縮まります。

もちろん年収が大きければ地域差も広がりますが、年収1,000万円くらいであっても、2、3万円程度しか変わりません。

なぜ住民税は地域差があるのか?

では、なぜわずかではあるものの住んでいる地域によって異なってくるのでしょうか?

条例で定めている

都道府県民税や市町村民税の税率などはそれぞれの自治体の条例によって定められています。その条例で定めたルールで、その都道府県や市区町村に住んでいる人の住民税を計算していくため、同じ所得であっても住んでいるところによって金額が異なるのです。

一方、所得税は国が定めている所得税法に則って税額の計算をしていくため、全国どこに住んでいても全く同じ計算になります。

地方税法で標準的な金額は定めている

しかし、地方税法という国の法律で標準的な住民税のルールを定めています。自治体はそれに沿った形で条例を定めているので、自治体ごとに住民税の金額が大きく変わることはありません。大きな差があれば不公平感も生まれてくるため、条例で定めている住民税であっても全国ほぼ同じ計算となります。

非課税限度額にも地域差がある

計算以外にも、住民税が非課税になるかどうかの金額で地域差があります。正社員で働いている人には一切関係ありませんが、パート・アルバイト、年金受給者などの人には関わってくる話です。

詳しくはこちらでまとめています。

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