給与所得者(会社員、サラリーマンやOLの人)の医療費控除の確定申告書の書き方についてまとめました1。
15分から30分程度で作成ができます。難しい計算は計算機を用意しているので、慣れていない人でも簡単にできます。
作成の前に
医療費控除の判定
確定申告書を記入する前にどの支払いが医療費に該当するかを判断します。詳しくはこちらのページでまとめています。
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医療費控除とは?計算式、申請用紙などわかりやすく解説!
所得税や住民税の減税制度のひとつである医療費控除についてまとめてみました。 医療費控除とは? 医療費の支払いがあるときに適用できる 国税庁の ...
用意するもの
申告書の作成では以下のものが必要になります。
- 黒インクのボールペン
- 確定申告書
- 源泉徴収票
- 印鑑(認め印で構いません)
- 本人の身分証明書のコピー2
- 本人のマイナンバーの通知カードのコピー3
- 還付先の金融機関の口座番号
- のり(もしくはセロテープ)
- ホチキス
- 医療費控除の明細書
- 医療費の領収書や医療費のお知らせ
確定申告書
申告書はPDF形式で国税庁のwebサイトにアップロードされています。自宅やコンピ二などで印刷して用意しましょう。用紙はカラーになっていますが、白黒で印刷しても問題ありません。
令和元年分確定申告書(国税庁PDFファイル)
- 申告書第一表
- 申告書第二表
- 添付書類台紙
以上の用紙が必要になります。PDFファイルの中には控え用の申告書がありますが、必要ありません。
なお、申告書は税務署で受け取ることもできます。
医療費控除の明細書
医療費控除の適用を受ける人が必ず提出しなければならない書類です。申告書と同様に国税庁のwebサイトにアップロードされています。
医療費控除の明細書(国税庁PDFファイル)
自宅やコンピ二などで印刷してください。
確定申告書の書き方
医療費控除の明細書
申告書の作成の前に医療費控除の明細書の記入をして医療費の金額などを整理します。
氏名の記入
氏名と住所を記入します。年分は「令和元年分」とします。
医療費通知に関する事項
健康保険組合から送られてくる医療費のお知らせを利用するときの欄です。
医療費のお知らせが何枚もある場合には、全て合計した金額を記入します。
医療費のお知らせに記載されている金額が必ずしも実際に支払った金額になるとは限りません。領収書などで確認して異なる場合には、(1)と(2)にはそれぞれの金額を記入します。
(3)は後日、保険会社や役所から保険金や給付金などという形で医療費の補填をされたときに記入します。医療費の補填とは、主に入院給付金や出産育児一時金、高額療養費などです。
医療費(上記1以外の)明細
領収書を利用するときの欄です。
この欄には交通費や自由診療などを主に記入しますが、「医療費のお知らせ」に記載される保険診療の領収書を記入しても問題ありません。その場合、医療費のお知らせに記入した分と2重の計上にならないように注意しましょう。
氏名と支払先が一致する場合は合算することができます。
欄が足りないときは、こちらの明細書に記入をします。
医療費控除の明細書(次葉)(国税庁PDFファイル)
(5)は後日、保険会社や役所から保険金や給付金などという形で医療費の補填をされたときに記入します。医療費の補填とは、主に入院給付金や出産育児一時金、高額療養費などです。
明細の下に医療費の額と補填額の合計を記入します。
最後に「医療費に関する事項」と「医療費(上記1以外の)明細」の医療費と補填額の合計を求め記入します。
補填額がなければBはゼロとなります。
控除額の計算
申告に必要に金額を計算していきます。
はじめにDの「所得金額の合計額」を求めます。
計算機を用意しました。3か所の黄色の欄に数字を入力して、計算ボタンをクリックすると桃色の欄の計算が行われます。
桃色の計算結果の欄をそのまま転記します。これで医療費控除の明細書は完成です。
申告書第二表
次に申告書第二表を作成します。記入するブロックは5つあります。
扶養控除や配偶者控除、生命保険料控除などの記入は省略します。国税庁で認められている書き方です。
氏名など
氏名、住所を記入します。
申告の年分は「1」と記入します。源泉徴収票に記載されている年分と同じになります。
所得の内訳
源泉徴収票から3つの項目を転記します。
「㊳源泉徴収額の合計額」もそのまま記入しましょう。
同一生計配偶者
- 本人の給与の年収が1,220万円を超える
- 配偶者のパート収入が103万円以下
以上をどちらも当てはまるときに配偶者の情報を記入します。基本的には配偶者がいる人も記入しない欄です。
16歳未満の扶養親族
平成16年1月2日より後に生まれた子どもなどの扶養親族がいれば記入します。
ここは住民税に関する欄になるため省略できません。
医療費控除
医療費控除の明細書で求めたアルファベットの金額を転記します。
- A → 支払医療費等
- B → 補填される金額
これで第二表は完成です。
申告書第一表
最後に第一表の記入をして還付金額を計算します。
税務署など
申告の年分は「1」と記入します。源泉徴収票に記載されている年分と同じになります。
管轄の税務署はその人の住所から定められています。国税庁のwebサイトで確認しましょう。
税務署を調べる(国税庁webサイト)
日付は空欄にします。
住所
「住所」には現在住んでいるところを記入します。
「令和〇〇年1月1日の住所」には「2」を入れます。令和2年1月1日以降に引越しをしている場合には引越す前の住所を記入します。
住所が変わっていない場合は「同上」と記入します。
氏名など
氏名やマイナンバーなどの個人情報を記入して、押印します。印鑑は認印で構いません。
生年月日の先頭の数字は元号を表します。
- 昭和 → 3
- 平成 → 4
電話番号は自分の携帯番号で構いません。
「整理番号」と「翌年以降送付不要」の欄には何も記入しません。
所得金額の計算
源泉徴収票から3つの項目を転記します。
数字やカタカナは申告書に記載されているものと対応します。
ここでも扶養控除や配偶者控除、生命保険料控除など個別の記入は省略しますが、合計額があるので税金の計算には影響しません。
次に医療費控除の明細書の一番下の「G医療費控除額」を転記して、⑯との合計を記入します。
医療費控除の欄にある「区分」は空欄にします。
税金の計算
ここまでの金額から所得税を計算します。申告納税額までは計算機を用意しました。3か所の黄色の欄に数字を入力して、計算ボタンをクリックすると桃色の欄の計算が行われます4。
「㊳源泉徴収税額」とは、申告書第二表の所得の内訳の「源泉徴収税額の合計額」から転記をします。
計算機で求めた金額を転記します。「還付される税金」に金額が入らない場合はどこかで間違えています。見直してみましょう。
還付金の口座
「還付される税金」に金額が入った人は、所得税の還付金を受け取る金融機関の口座の情報を記入します5。
申告する人が名義となっている口座を記入しないと還付の手続きができません。
ゆうちょ銀行の口座を記入する場合は口座番号だけを記入します。
これで申告書の作成は以上となります。
提出の準備
添付書類台紙の作成
申告書のPDFファイルに一緒に入っている「添付書類台紙」に住所や氏名、申告の年分を記入します。
以下の税務署に提出する書類をのりで貼り付けます。
- 身分証明書のコピー
- マイナンバー通知カード
添付書類台紙は2ページありますが、1ページ目だけを使います。
源泉徴収票は提出なしでOK
平成31年4月1日以降に提出する確定申告書から源泉徴収票の添付の義務がなくなりました。
今回の確定申告から源泉徴収票なしでも問題なく申告書を提出することができます。源泉徴収票は大切に保管しておきましょう。
医療費控除の明細書の裏
医療費控除の明細書の裏に「医療費のお知らせ」を貼り付けます。
領収書は提出する必要はありません6が、申告をしてから5年間各自で保管をしなおかなければなりません。
ホチキス留め
申告書の左上をホチキスで留めます。上から
- 第一表
- 第二表
- 医療費控除の明細書
- 添付書類台紙
となるように書類を揃えてから留めてください。
申告書の提出
第一表に記入した税務署に完成した申告書を提出します。
- 郵送で提出する
- 税務署で直接提出する
提出の方法は2つあります。自宅から税務署までが遠い人や税務署まで行く暇がない人は郵送による提出をしましょう。
詳しくはこちらのページでまとめています。
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郵送での確定申告書の提出の方法とは?提出先や期限は?消印有効?
郵送による確定申告書の提出方法についてまとめてみました。税務署が自宅から遠くにある人、税務署まで行く暇がない人はぜひおさえておきましょう。 ...
- 給与所得以外に所得がある場合は対応していません。 ↵
- 身分証明書として認められている主なものは次のとおりです。
・運転免許証
・パスポート
・社員証、資格証明書
・年金手帳
・印鑑登録証明書 ↵ - マイナンバーカードのコピーを提出することも可能です。その場合には、身分証明書と通知カードのコピーは必要ありません。 ↵
- この計算機は住宅ローン控除などの税額控除がある人には対応していません ↵
- 還付金は現金で受け取ることもできますが、手間がかかってしまうので、口座で受け取る方法をおすすめします。 還付金を現金で受け取る方法 ↵
- ただし、次の支払いを医療費控除の対象とする場合には、医師などの証明書の添付が必要になります。
・寝たきりの人のおむつ代→おむつ使用証明書
・温泉利用型健康増進施設の利用料金→温泉療養証明書
・指定運動療法施設の利用料金→運動療法実施証明書
・ストマ用装具の購入費用→ストマ用装具仕様証明書
・B型肝炎ワクチン接種費用→医師の診断書
・白内障等の治療にかかる眼鏡の購入費用→処方箋
・在宅療養の介護費用→在宅介護費用証明書
↵