【税理士監修】難しく複雑な税金制度を分かりやすく簡潔に!

そよーちょー通信

贈与税

直系尊属の贈与税の特例税率とは?

直系尊属から贈与を受けたときの特例税率の制度についてまとめてみました。

特例税率が適用できると、通常よりも低い税率で贈与税が計算されます。

贈与税の特例税率とは?

親や祖父母からの贈与の特例

親から子、祖父母から孫の贈与は一般税率に代えて特例税率を選ぶことによって、贈与税の税率が低くなるという制度です。この特例税率の適用を受けるには次の全ての要件を満たさなければなりません。

財産をあげた人を贈与者、もらった人を受贈者として説明します。

  1. 贈与者は受贈者の直系尊属であること
  2. 受贈者は贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であること
  3. 贈与を受けた財産が4,101,000円以上であること

1.贈与者は受贈者の直系尊属

直系尊属とは父母や祖父母のことを指します1。養子縁組をしている場合にも対象になります。

家族であっても兄弟姉妹やおばおじ、配偶者の両親(義父母)から受けた贈与は特例税率の対象にはならず、一般税率で計算が行われます。

2.1月1日時点で20歳以上

受贈者の年齢は直前の1月1日で判定します。贈与を受けた日が20歳であっても適用を受けられないことがあるので注意してください。

贈与者(両親、祖父母)には年齢の要件はありません。

3.財産が4,101,000円以上

特例税率と一般税率は贈与の財産の総額が4,101,000円までは同じです。

つまり、1月1日から12月31日までの1年間に受けた財産の総額が4,101,000円以上でなければ、特例税率による贈与税の優遇が受けられません2

特例税率の計算

直系尊属から1年間に贈与を受けた財産から次のように計算します。

財産の総額 税率 控除額
110万円以下 0%(非課税) -
310万円以下 10% 0円
510万円以下 15% 10万円
710万円以下 20% 30万円
1,110万円以下 30% 90万円
1,610万円以下 40% 190万円
3,110万円以下 45% 265万円
4,610万円以下 50% 415万円
4,610万円超 55% 640万円

計算式

  • 贈与税額 = (財産の総額 - 110万円)× 税率 - 控除額

表に当てはめて以上のように計算します。父から500万円の贈与を受けたときの贈与税は、(500万円-110万円)×15%-10万円=485,000円となります。

参考までに直系尊属以外から贈与を受けたときの一般税率は次をクリックすると表示されます。

+ 一般税率

一般税率は以下のとおりです。財産500万円の贈与をしたときは、特例税率と比べ45,000円高くなります。

財産の総額 税率 控除額
110万円以下 0%(非課税) -
310万円以下 10% 0円
410万円以下 15% 10万円
510万円以下 20% 25万円
710万円以下 30% 65万円
1,110万円以下 40% 125万円
1,610万円以下 45% 175万円
3,110万円以下 50% 250万円
3,110万円超 55% 400万円

財産の総額が大きくなると、優遇される贈与税額も大きくなります。

計算機

計算機を用意しました。贈与の財産額を入力すると、特例税率の贈与税額が表示されます。

特例税率の適用を受ける方法

贈与税の申告をする

通常通り、贈与を受けた日の翌年の2月1日から3月15日までに贈与税の申告をすることによって特例税率の適用を受けることができます。

必要書類

贈与税の申告に必要な主な書類は以下のとおりです。

  • 贈与税の申告書第一表
  • 受贈者のマイナンバー通知カード(もしくはマイナンバーカード)
  • 受贈者の身分証明書(運転免許証など)
  • 戸籍謄本
  • 贈与した財産に関する書類(売買契約書など)

自宅で申告書を作成して郵送で申告することも可能ですが、どうすればいいのか何もわからない場合は、以上のものを持って所轄の税務署に行けば申告書の作成や提出を行うことができます。所轄の税務署はこちらから確認しましょう。
  税務署を調べる(国税庁webサイト)

申告書は国税庁のwebサイトから印刷することも可能ですが、税務署で受け取ることができます。

戸籍謄本が必要になる

贈与者が受贈者の直系尊属であることと受贈者が20歳以上であることを明らかにするために、戸籍謄本を贈与税の申告書と一緒に提出しなければなりません。

戸籍謄本の提出は初回の贈与税の申告だけです。2回以降の同じ直系尊属からの贈与税の申告では省略することができます。

贈与者のマイナンバーは必要ない

申告に際し、受贈者のマイナンバーや身分証明書は必要になりますが、贈与者のマイナンバーや身分証明書は一切必要ありません。

住宅取得資金の非課税について

直系尊属から受けた贈与の中でも、それがマイホームの新築や購入、増改築のための資金であった場合には、通常の110万円に加えてさらに一定の金額まで贈与税がかからないという特例の制度があります。

上手く利用すれば200万円以上贈与税を減らすことができ、相続税対策にも有効な制度です。詳しくはこちらのページでまとめています。

  1. 曾祖父母(祖父母の両親)から受けた贈与も対象になります。
  2. 1年間の合計が4,101,000円以上であればいいので、例えば、父から300万円祖父から350万円の贈与を受けた場合は、総額が4,101,000円以上になるので、特例税率の贈与税の優遇が受けられます。

Copyright© そよーちょー通信 , 2024 All Rights Reserved.