所得税の減税制度のひとつである政党等寄附金特別控除についてまとめてみました。
寄付金控除との有利判定の計算機も用意しています。
政党等寄附金特別控除とは?
政治活動への寄附
政治活動に関する寄附を行ったときに、所得税の減税ができるという制度です。
平成30年に行った寄附は平成30年にかかる税金だけが対象となります。
対象となる寄附金
- 政党(本部、支部を含む)
- 政治資金団体
政党や政治資金団体の中でも総務大臣や選挙管理委員会に報告されたものに限られます。対象となる寄附には、寄附先から総務大臣又は選挙管理委員会の確認印がある「寄附金控除のための書類」という証明書が送られてきます。
本人が行った寄附だけ対象になる
医療費控除などとは異なり、控除の対象となる寄附は本人が行ったものに限ります。配偶者や家族が行った寄附は対象にすることはできません。
寄付金控除と一緒に適用できない
政党等への寄附金は通常の寄付金控除でも適用することもできますが、政党等寄附金特別控除と一緒に受けることはできません。必ずどちらかの適用になります。
シミュレーションをして所得税の減税額が大きくなる方を選択して適用するのが一般的です。ページ下に政党等寄附金特別控除と寄付金控除の判定機を用意しています。
どちらを適用しても住民税の寄付金控除は受けられる
政党等への以外にも寄附があり、それがふるさと納税など住民税の寄付金控除の対象になる場合、寄付金控除、政党等寄附金特別控除のどちらを適用しても、住民税の寄付金控除は受けることができます。
ただし、政党等への寄附は住民税の寄付金控除の対象ではありません。所得税だけの制度です。
寄附金特別控除とは一緒に適用できる
寄附金特別控除は政党以外にも2種類あります。
- 認定NPO法人等寄附金特別控除
(認定NPO法人、特例認定NPO法人への寄附) - 公益社団法人等寄附金特別控除
(公益社団法人、公益財団法人、学校法人、社会福祉法人などへの寄附)
以上の制度は政党等寄附金特別控除と一緒に適用を受けることができます。
控除額の計算方法
計算式
「政党等以外の特定寄附金1」があるかどうかによって、計算式が変わります。政党等以外の特定寄附金とは具体的にふるさと納税や災害義援金などがあります。
政党等寄附金だけ
- 控除額(100円未満切捨て)
=(政党等寄附金 - 2,000円)✕ 30%
・控除額は所得税額の25%を限度とする。
・政党等寄附金の額は総所得金額等の40%を限度とする。
政党等寄附金以外の特定寄附金もある
- 控除額(100円未満切捨て)
={ 政党等寄附金 -(2,000円 - 政党等以外の特定寄附金)}✕ 30%
・控除額は所得税額の25%を限度とする。
・政党等寄附金の額は総所得金額等の40%から政党等以外の特定寄附金を差し引いた金額を限度とする。
・(2,000円 - 政党等以外の特定寄附金)は0以下のときは0となる。
細かいところで限度額が設けられているので、ややこしいですが、基本的には政党等寄附金の30%程度が控除額となります。
寄付金控除との有利判定
政党等寄附金特別控除と寄付金控除でどちらの適用を受けたら減税額が大きくなるかの判定機です。
あらかじめ行うこと
寄付金控除、政党等寄附金特別控除の適用をしない状態で、申告書第一表の左半分の赤で塗りつぶしたところまでの計算をします。
判定では赤枠で囲った「所得金額の合計」と「所得から差し引かれる金額の合計」を使います。
判定の方法
寄附金の額と「所得金額の合計」と「所得から差し引かれる金額の合計」を入力して、計算ボタンをクリックすると、それぞれの控除の適用を受けたときの減税額の試算と判定が行われます2。
寄附金の額は「政党等寄附金」と「政党等以外への寄附金」に分けて入力をしてください。「政党等以外への寄附金」とはふるさと納税などが当てはまります。
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他の特別控除を併用で適用するときの判定
認定NPO法人等寄附金特別控除や公益社団法人等寄附金特別控除と一緒に適用を受けるときの判定はこちらのページでまとめています。
政党等寄附金特別控除の適用を受ける方法
確定申告で受ける
翌年の2月3月ごろに自分で確定申告書を作成して税務署に提出します。申告書第一表と第二表、寄附金の明細書に必要事項を記入することによって適用を受けることができます。
書類の書き方についてはこちらでまとめています。
証明書必要になる
その年に寄附を行ったことを明らかにするために、寄付先から受け取った証明書の原本を申告書と一緒に税務署に提出しなければなりません3。
政党等以外の寄附が住民税の控除の対象になるとき
ふるさと納税など住民税の寄附金控除の対象になる寄附があるときに、政党等寄附金特別控除の適用を選択した場合であっても、確定申告をすれば自動的に住民税の寄附金控除まで行われます。