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勤労学生控除とは?必要な証明書、大学院生もOK?!

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所得税や住民税の減税制度のひとつである勤労学生控除についてまとめてみました。アルバイトをしている大学生や大学院生がおさえておきたい制度です。



勤労学生控除とは?

国税庁のwebサイトには以下のように記載されています。

1 勤労学生控除の概要
納税者自身が勤労学生であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。

国税庁 No.1175 勤労学生控除 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1175.htm

つまり、本人が学生のときに税金の優遇を受けるという制度です。ただし、学生以外にもいくつかの条件があります。

対象となる学生

  • 本人が学生であること
  • アルバイト収入で130万円以下1であること
  • 勤労によらない所得が10万円以下であること

以上を全てを満たしたときに適用を受けることができます。

学生の範囲とは?

基本的に学生と呼ばれる人は全て対象となり、一般的な高等学校、大学、大学院、高等専門学校などに通っていれば認められます。

その他、職業訓練学校や専門学校、専修学校などについては細かい要件を満たさなければなりません。そのような学校に通っている人は個別に確認する必要があります2

12月31日で判定する

学生かどうかは、その年の12月31日時点で判断をします。年の途中で卒業や退学をした場合は適用を受けることはできません。

勤労によらない所得とは?

アルバイトや個人事業などを勤労による所得というのに対し、仮想通貨や株式などの金融商品の投資などによる所得を勤労によらない所得といいます。

仮想通貨や株式の売買などで年間10万円を超える所得(利益)が発生した場合には適用を受けることはできません。投資をしていても年間で損失が出ていたり、利益が10万円以下であれば適用を受けることができます。

勤労学生控除の適用を受ける方法

勤労学生控除は、アルバイト先の年末調整で受ける方法と確定申告することによって受ける方法の2つあります。

年末調整で受ける

10月11月ごろになると、アルバイト先から年末調整の書類が配られ記入を求められます。その配られた書類に勤労学生控除を受けるための必要事項を記入して提出すると、会社の方で勤労学生控除の適用の手続きが行われます。

書類の書き方についてはこちらでまとめています。

学生証のコピーを提出する

学生であることを証明するために、年末調整の書類と一緒に学生証のコピーや在学証明書を会社に提出しなければなりません。

アルバイトを掛け持ちしている人

2か所以上でアルバイトをしている場合には、会社の年末調整で勤労学生控除を受けることはできず、自分で確定申告をしなければなりません。

確定申告で受ける

翌年の2月3月ごろに自分で確定申告書を作成して税務署に提出します。確定申告のためには勤めているアルバイト先全てから源泉徴収票を受け取らなければなりません。

確定申告の方が負担が大きくなるため、可能な限り年末調整で控除を受けることをおすすめします。

書類の書き方についてはこちらでまとめています。

学生証のコピーを提出しなくていい

確定申告では学生証のコピーを税務署に提出する必要はありませんが3、マイナンバーのための身分証明書を提出する必要があります。

身分証明書は学生証でも問題ないので、結果として学生証を提出することになります。

住民税も自動的に減税される

年末調整や確定申告のデータは、自動的に住んでいる市区町村の役所に送られます。役所はそれに基づいて住民税の計算を行うため、年末調整や確定申告を行えば、所得税だけでなく住民税の勤労学生控除を受けたということになります。

勤労学生控除と減税

勤労学生控除で減税できる場合

年収130万円未満の学生が適用を受けられる制度ですが、実際に減税される場合というのは限られています。

年齢 減税の効果がないアルバイトの収入額
20歳未満 103万円以下
20歳以上 100万円以下

以上に該当する場合には、勤労学生控除を受けても受けなくても何も変わりません。

所得税や住民税には一定の金額までは非課税となっています。控除というのは税金が発生したときに減税できる制度4であるため、そもそも税金がかからない場合には、控除を適用しても意味はありません。

ほとんどの学生は税金がかからない範囲でアルバイトをしていると思います。勤労学生控除を適用できる人は多くいますが、実際に減税される人は多くありません。

最大でどれくらい減税されるのか

勤労学生控除が適用できる最大の年収130万円とします。控除を適用をしていないと所得税と住民税あわせておよそ48,000円5発生します。一方、控除を適用をすると、かかる税金は住民税のみとなり約10,000円となります。

結果、最大で38,000円ほどの所得税や住民税が減税されます。

親の扶養から外れてしまう

本人の年収が103万円を超えているますので、親の税金の扶養から外れてしまいます。親は所得税や住民税の扶養控除を一人分適用できなくなってしまうため、親の税金が増えてしまいます。

本人が大学生で、親の年収が600万円だとすると、住民税と所得税合わせて10万円以上も上がってしまいます。年収103万円を超えて勤労学生控除を適用すると、本人分は減税されますが、親の税金は、減税できた金額以上に多くなってしまいます。

年収103万円に抑えたほうがいい

このようなことから、親の扶養の範囲でアルバイトをしている学生が本人の所得税や住民税を優遇するために勤労学生控除を適用して、アルバイトの年収を130万円までにするとかえって損をしてしまいます。

親の扶養に入れるのであれば、アルバイトの収入を103万円に抑えた方がずっとお得です。家庭の事情で親がいない、親の収入がないなど親の扶養に入れない学生が適用を受けて優遇される税制です。

所得控除の中で一番中途半端な税制

ここまで勤労学生控除についてまとめてきましたが、適用の要件はクリアしやすいですが、減税できるケースは少なく、減税できたとしても最大4万円弱と効果は小さいです。

家庭の事情で親の扶養に入れない、学費や生活のためにお金を稼がなくてはならない学生にとっても、適用の要件での所得の上限が中途半端すぎます。苦学生なら年収130万円、つまり月収10.8万円は少し足りない気がします。

学生が正社員レベルで働いて勤労学生控除が適用をしてしまうと、間接的に国がそのような学生を認めてしまう状態になってしまうため、所得の上限を設けています。税制は社会的なところからも判断をしなければならなく、非常に難しいものです。

  1. 国税庁の要件では「合計所得金額が65万円以下」となっていますが、給与(アルバイト)収入に言いかえると、年収130万円以下となります。
  2. 国税庁は勤労学生の対象になる学校を以下のように定義しています。
    ・学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など
    ・国、地方公共団体、学校法人等により設置された専修学校又は各種学校のうち一定の課程を履修させるもの
    ・職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの
  3. 専修学校や職業訓練学校に通っている人は在学証明書を提出しなければなりません。
  4. 住民税は所得割と均等割に分かれ、勤労学生控除で減税されるのは所得割だけになります。住んでいる市区町村やその人の年収によっても異なりますが、勤労学生控除の適用を受けても住民税の均等割がかかってしまうことがあります。
  5. 住民税の金額は住んでいる市区町村によって若干異なります。

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