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医療費控除の対象になる出産費用、妊娠費用とは?

妊娠や出産にかかった費用はどこまでが確定申告で使えるのでしょうか?医療費控除の対象になる妊娠、出産費用についてまとめてみました。

子どもを産むときは何かとお金がかかります。医療費控除の申告で所得税や住民税を少しでも減らせるようにしましょう。

対象になる出産費用、妊娠費用

国税庁のwebサイトには以下のように記載されています。

No.1122 医療費控除の対象となる医療費
6 助産師による分べんの介助の対価

出典 国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm

「分べんの介助の対価」と記載されていますが、妊娠や出産にかかる幅広い費用が医療費控除の対象となります。

細かく分けて説明します。

妊娠から出産後まで

  • 入院から退院までの出産費用
  • 妊娠と診断されてからの定期検診の費用1
  • 出産後の定期検診の費用
  • 出産後の医師や助産師による保健指導の費用

出産時の費用だけでなく、定期検診や産後の医師や助産師のケアや母乳指導などで支払った費用は全て医療費控除の対象になります。

出産育児一時金を差し引いた金額が医療費控除の対象になる

加入している健康保険や共済保険などから支給される出産育児一時金(最大42万円)を受け取ったときは、出産費用からその出産育児一時金を差し引いた金額となります。

つまり、自己負担分の出産費用が医療費控除の対象となります。全額賄われた場合は一切対象になりません。

医療費控除ではこのような金額を「補填される金額(補填額)」といいます。これ以外に、生命保険会社から入院費として受け取った金額も「補填される金額」となります。

出産手当金は関係ない

一時金とは別に、加入している健康保険や共済保険などから出産手当金も支給されることがあります。

これは出産のために会社を休んだことによって得られなかった給料を補うための手当です。出産費用とは一切関係ないものになるので、医療費控除の計算では除外します。

出産手当金以外にも会社などから受け取るお祝い金も除外します。

その他の妊娠出産費用

  • 不妊治療(人工受精・体外受精)の費用2
  • 未熟児の入院費用
  • 流産のときの妊娠出産費用
  • 人工中絶費用
  • 帝王切開費用

このような病院に支払った費用も医療費控除の対象となります。

流産したときも出産一時金が支給されることがあるので、受け取ったときはその金額を差し引いた自己負担分が対象となります。

個室の差額ベッド代

入院時の個室の差額ベッド代(室料差額)は本人や家族の希望による場合、医療費控除の対象にはなりません。一方、医師の指示のときの差額ベット代は医療費控除の対象となります。

出生前検査、羊水検査

妊娠したときの出生前検査は医師に対する費用ではありますが、健康診断と同様に治療に直接関係するものではないため医療費控除の対象にはなりません。

羊水検査の扱いになります。

付随でかかる費用について

入院時の付随費用

出産にかかる入院の際には、病院が用意する食事代もかかります。この食事代も医療費控除の対象となります。

一方、入院時に用意したパジャマや洗面具などは分娩のために直接必要は費用とは考えられないため、医療費控除の対象にはなりません。

交通費

定期検診などで病院に通うための電車代やバス代も医療費控除の対象となります。一方、自家用車で病院に通ったときのガソリン代や駐車場代は一切対象になりません。

タクシー代も対象となる

出産の入退院のときや突然陣痛が起きてしまったときなど、電車やバスを利用できない状況もあります。このようなときに利用したタクシー代も医療費控除の対象になります。

タクシー代は基本的には医療費控除の対象になりませんが、タクシーを使わざるを得ない事情がある場合には対象になります。

家族の交通費

家族が出産の立ち会いや見舞いためにかかった病院までの交通費は医療費控除の対象にはなりません。

医療費控除の対象になる交通費は通院のためものに限ります。家族の交通費は通院ではないため対象にはなりません。

同様に、出産のために親を自宅に呼び寄せたときの交通費や本人が実家に帰ったときの交通費も通院にかかるものでないため医療費控除の対象にはなりません。

家政婦やベビーシッター

出産の入院のときに雇った自宅の家事掃除のための家政婦の費用や他にいる子どものベビーシーター代は出産に直接かかる費用ではないため医療費控除の対象にはなりません。

親戚や知り合いなどに子どもの面倒を見てもらったときの謝礼も対象にはなりません。

医療費控除の書き方

翌年の2月3月ごろに自分で確定申告書を作成して税務署に提出します。申告書第一表と第二表、医療費控除の明細書に必要事項を記入することによって適用を受けることができます。

書類の書き方についてはこちらでまとめています。

会社員の人の確定申告の書き方は別にページを設けています。

  1. 胎児教室の費用やマタニティーグッズや衣服の金額は医療費控除の対象にはなりません。
  2. 治療によって妊娠できたかどうかは関係なく医療費控除の対象となります。

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