不納付加算税についてまとめてみました。給与の支払いがある法人の経営者や個人事業主はおさえておきましょう。
不納付加算税とは
源泉所得税のペナルティ
不納付加算税とは、定められている期限日を過ぎてから源泉所得税の納付を行なったときにかかる罰金のような税金です。
源泉所得税がかかってくるのは、給与や外注費の支払いがある法人や個人事業主になるため、不納付加算税がかかってくるのも、そのような法人や個人事業主だけとなります。
期限日とは?
基本的に源泉所得税は毎月納付する税金で、期限日は翌月の10日です。つまり、給与や外注費を支払った翌月の10日までに源泉所得税を納めなければなりません。
中小事業者は半年に1回にまとめられる
給与の支払いが10人未満の法人や個人事業主は「源泉所得税の納期の特例の承認」の申請をすることによって、給与や賞与、士業の報酬の源泉所得税を半年ごとにまとめて納付することができます。
ただし、外注費の源泉所得税は対象とならないため、納期特例を申請しても毎月納付をしなければなりません。
給与や報酬の支払い月 | 期限日 |
1月~6月 | 7月10日 |
7月~12月 | 1月20日 |
期限日が土日祝日の場合
期限日が土日祝日の場合は、その翌平日が期限日になり、1日2日ほど延長されます。
無申告加算税との違い
不納付加算税は源泉所得税だけにかかる税金です。
一方、所得税の確定申告や消費税や法人税の申告で期限日を過ぎて行ったときにかかるのは無申告加算税です。詳しくはこちらのページでまとめています。
経費に入れることはできない
個人の場合
事業所得や不動産所得などの会計処理では「事業主貸」で仕訳を切ります。経費に入れることはできない税金なので、「租税公課」で仕訳を切ってはいけません。
個人の仕訳
- 事業主貸 50,000/現預金 50,000
家事用の資金で納めた場合は、仕訳を切らなくても問題ありません。
法人の場合
法人の会計処理では「租税公課」で仕訳を切りますが、法人税の申告書では否認され(損金不算入となり)、実質的には経費としては扱われません。
法人の仕訳
- 租税公課 50,000/現預金 50,000
計算方法
納税額から計算される
不納付加算税は源泉所得税額から計算が行われます。年末調整などで源泉所得税の還付が発生したときには一切かかりません。
1万円未満は切り捨てる
計算では、上記の納税額の1万円未満を切捨てします。納税額129,100円の場合、12,000円で計算されます。
計算式
計算式は次のとおりです。
計算式
- 不納付加算税 = 源泉所得税額 × 5%
指摘を受けてから納付したとき
税務調査などで税務署から指摘を受けてから源泉所得税の納付を行ったとき、税率は重くなります。
計算式
- 不納付加算税 = 源泉所得税額 × 10%
税務署から通知が送られてくる
不納付加算税がかかる場合は、税務署から加算税の通知書が送られてきます。同封されている納付書を持参して、金融機関や税務署の窓口で現金や預金で納税をします。
税額の計算は税務署が行います。通知書送られてこなかった場合は不納付加算税がかからなかったということです。
不納付加算税が免除になる場合
期限を過ぎてから納付をしたからといって、必ずしも不納付加算税がかかるわけではありません。次のいずれかに当てはまると免除されます。
- 不納付加算税の金額が5,000円未満のとき
- 期限内に納付する意思があると認められたとき
- 正当な理由があるとき
5,000円未満
不納付加算税は国税の中でも附帯税の加算税の一つに含まれます。加算税の計算には次のようなルールがあります。
第九章 雑則
(国税の確定金額の端数計算等)
第百十九条
4 附帯税の確定金額に百円未満の端数があるとき、又はその全額が千円未満(加算税に係るものについては、五千円未満)であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。出典 e-Gov 国税通則法
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=337AC0000000066&openerCode=1#1025
つまり、計算した結果、不納付加算税が5,000円未満になった場合は免除されます。
期限後に自主的に納付したときの税率は5%です。この場合、源泉所得税額10万円未満なら一切かかりません。
期限内に納付する意思
「期限内に納付する意思」とは、次の要件をすべて満たすとき認められます。
- 期限の1ヶ月後までに納付を行っていること
- 過去1年以内に税務署から指摘を受けていないこと
- 過去1年以内に期限後の源泉所得税の納付をしていないこと
つまり、過去1年以内に問題なく源泉所得税の納付を行っていれば、1か月以内に遅れたものに関しては1回見逃してもらえるということです。
正当な理由
地震や津波などの災害に遭ったり、納税者の責任が全てと言えない事情があったりなど、「正当な理由」と判断されば免除になります。
ただ、知らなかったや勘違いなどで遅れてしまった場合は、「正当な理由」だと判断されません。