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所得税 贈与税

期限内申告の延滞税はどのように計算されるのか?

所得税と贈与税の申告書の提出期限は3月15日です。申告によって計算された所得税、贈与税の納付期限も3月15日です。3月15日までに申告書を提出していても、遅れてしまった納税については延滞税が発生します。

延滞税の計算

延滞税の利率は2つに分かれる

遅れてしまった納税額に利率をかけて延滞税を計算します。納付期限から2ヶ月までとそれ以降で分かれており、2ヶ月までは低く計算されますが、2ヶ月を超えてしまうと、7.3%利率が加えられ大きな延滞税が発生します。

平成30年の延滞税の利率

  • 納付期限から2ヶ月まで →年2.6%
  • それ以降         →年8.9%

計算式

  • 3/16から5/15まで
    ① = 延滞している納税額(1万円未満切捨)×2.6%×期間日数/365日 
  • 5/16以降
    ② = 延滞している納税額(1万円未満切捨)×8.9%×期間日数/365日 

延滞税の金額= ①+② 

納税後に「延滞税のお知らせ」が届く

遅れて税金を納付すると、税務署で延滞期間や税額から延滞税の計算がされます。延滞税が発生する場合は、税務署から自宅に「延滞税のお知らせ」が届きます。それにしたがって、延滞税の納付を行います。「延滞税のお知らせ」が届かない場合は延滞税が発生しなかったということです。

自分で延滞税の計算して納付するわけではありません。税務署の通知で納付を行います。

 

振替納税では延滞税はかからない

3月15日までに「預貯金口座振替依頼書」を税務署に提出することによって、納付すべき金額が自動的に口座引き落としが行われます。口座振替日は4月の下旬となっており、納付期限から1ヶ月程度遅れます。しかし、振替納税では延滞税は一切かかりません。そのため、一ヶ月程度の延滞をしたい場合は振替納税をおすすめしています。

口座引落がてきないと延滞税が発生する

口座振替日に預金口座の残高が納付金額に足りていないと、振替納税はできません。自分で納付を行う必要があります。振替納税ができなかったものについては延滞税が発生してしまいます。そのため、口座振替日には預金残高が足りているか必ず確認するようにしましょう。

贈与税は振替納税できない

振替納税できる税金は所得税と消費税のみです。贈与税の振替納税はありません。

 

1,000円未満だと延滞税はかからない

延滞税は国税の中でも附帯税一つに含まれます。附帯税の計算には以下のようなルールがあります。

第九章 雑則
(国税の確定金額の端数計算等)
第百十九条
4 附帯税の確定金額に百円未満の端数があるとき、又はその全額が千円未満(加算税に係るものについては、五千円未満)であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。

出典 e-Gov 国税通則法 https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=337AC0000000066&openerCode=1

このように計算の結果が1,000円未満になった場合は延滞税はかかりません

延滞税が1,000以上の時、100円未満は切り捨てる

計算した結果が1,000円以上になった時、100円未満の端数については切り捨てをします。例えば、計算した結果12,345円となった場合、延滞税は12,300円となります。

 

延納なら利率が低くなる

所得税の延納

延納の申請をすると、納付を5月31日までに延期することができます。延滞税に変わり、利子税が発生しますが、利子税は延滞税よりも1%低く、5/31まで一律の利率です。要件がありますが、延納の申請は確定申告書で簡単に行うことができます。

詳しくはこちらでまとめています。

贈与税の延納

申告期限までに延納申請書を提出をして認められた場合、最大で5年間の延納を行うことができます。利子税の利率は約年5%です。数ヶ月の延滞であれば、延滞税の方が低いかもしれませんが、数年の延納を考えている場合は、延納による利子税の方がお得になります。

 

延滞税がかからないのはどんな場合か?

計算した結果、延滞税が1,000円未満ならかかりません。どんな場合延滞税がかからないか、シミュレーションをしたいと思います。

納付期限から2ヶ月遅れて5/15に納付する

2ヶ月遅れて納付する時、延滞している納税額が24万円未満なら延滞税はかかりません。

計算の根拠は以下のとおりです。

メモ

延滞している納税額をAとする。
1,000>A×2.6%×61日/365日
1,000>0.004345205A
   A<230,138.73

Aが230,138円未満なら延滞税は1,000未満となる。

第九章 雑則
(納税管理人)
3 附帯税の額を計算する場合において、その計算の基礎となる税額に一万円未満の端数があるとき、又はその税額の全額が一万円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。

出典 e-Gov 国税通則法 https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=337AC0000000066&openerCode=1

このように、計算にあたって延滞している納税額は1万円未満切り捨てというルールがある。
そのため、延滞している納税額が239,999円なら計算のもとになる数字(A)が230,000円となる。

2ヶ月延滞する場合、延滞している税額が24万円未満なら延滞税はかからない。

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