【税理士監修】難しく複雑な税金制度を分かりやすく簡潔に!

そよーちょー通信

住民税

住民税が減額される所得控除とはどんなものがあるのか?

所得税と同様に住民税も税金を減額するための所得控除というものがあります。所得税で適用していた所得控除は住民税でも全て適用されます。しかし、一部で控除の金額や計算が所得税と異なるのでご注意してください。

物的控除

一年のうちにその支払や負担があったときに適用できる控除です。

雑損控除

災害・盗難・横領により一定の資産に受けた損害や損失を受けたとき

計算式

損失額-補填額(保険金など)= ①
とした場合の次のAとBのいずれかの多い金額

A.① -(総所得金額等✕10%)
B.災害関連支出の金額 - 5万円

所得税と計算は同じです。

医療費控除

本人や生計を一にする配偶者、親族の医療費を支払ったとき

計算式

医療費-補填額(保険金など)-10万円 (最高200万円)

※総所得金額等が200万円未満の場合
 医療費 -補填額(保険金など)- (総所得金額等✕10%)

所得税と計算は同じです。

セルフメディケーション税制

特定一般用医薬品等の購入費を支払ったとき

計算式

購入費-補填額(保険金など)-12,000円 (最高88,000円)

所得税と計算は同じです。医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらか選択で適用します。

社会保険料控除

健康保険、年金、雇用保険などを支払ったとき

計算式

支払額の全額

所得税と同額になります。

小規模企業共済等掛金控除

確定拠出年金や小規模企業共済を支払ったとき

計算式

支払額の全額

所得税と同額になります。

生命保険料控除

生命保険料を支払ったとき

支払った金額の全てが控除になるわけではありません。生命保険を締結した年によって、計算をして控除額を求めます。

平成24年以後に締結した保険(新)

生命保険を一般、個人年金、介護医療の3つに区分して計算します。それぞれ限度額は28,000円で、3つ合計で最高7万円が限度額です。

年間の支払保険料 控除額
12,000円以下 保険料の全額
12,000円超、32,000円以下 保険料✕0.5+6,000円
32,000円超、56,000円以下 保険料✕0.25+14,000円
56,000円超 一律28,000円

平成24年以前に締結した保険(旧)

生命保険を一般、個人年金の2つに区分して計算します。それぞれ限度額は35,000円で、2つ合計で最高7万円が限度額です。

年間の支払保険料 控除額
15,000円以下 保険料の全額
15,000円超、40,000円以下 保険料✕0.5+7,500円
40,000円超、70,000円以下 保険料✕0.25+17,500円
70,000円超 一律35,000円

新と旧の両方の生命保険がある場合は、まず新と旧で分けて計算を行ってから、一般と個人年金で合計します。それぞれ限度額は28,000円で、一般と個人年金、介護医療全ての合計は最高7万円が限度額です。

所得税と住民税は計算式や限度額が異なります。

地震保険料控除

地震保険料、旧長期損害保険料を支払ったとき

支払った金額の全てが控除になるわけではありません。それぞれ計算をして控除額を求めます。

地震保険料

年間の支払保険料 控除額
50,000円以下 保険料✕0.5
50,000円超 25,000円

旧長期損害保険料

年間の支払保険料 控除額
5,000円以下 保険料の全額
5,000円超、15,000円以下 保険料✕0.5+2,500円
15,000円超 10,000円

保険が両方ある場合は、地震保険料と旧長期損害保険料それぞれ計算をした合計額の限度額が25,000円となります。

所得税と住民税は計算式や限度額が異なります。

 

人的控除

本人やその生計を一にする親族、配偶者の状況によって適用できる控除です。配偶者特別控除の一部以外は所得税の控除額と異なります。

区分 住民税(平成30年) 所得税(平成29年)
基礎控除 330,000円 380,000円
扶養控除 一般 330,000円 380,000円
特定 450,000円 630,000円
老人 380,000円 480,000円
同居老親 450,000円 580,000円
配偶者控除 一般 330,000円 380,000円
老人 380,000円 480,000円
障害者控除 普通 260,000円 270,000円
特別 300,000円 400,000円
同居特別 530,000円 750,000円
寡婦控除 一般 260,000円 270,000円
特別 300,000円 350,000円
寡夫控除 260,000円 270,000円
勤労学生控除 260,000円 270,000円
配偶者特別控除 38万円超 40万円未満 330,000円 380,000円
40万円以上45万円未満 330,000円 360,000円
45万円以上50万円未満 310,000円 310,000円
50万円以上55万円未満 260,000円 260,000円
55万円以上60万円未満 210,000円 210,000円
60万円以上65万円未満 160,000円 160,000円
65万円以上70万円未満 110,000円 110,000円
70万円以上75万円未満 60,000円 60,000円
75万円以上76万円未満 30,000円 30,000円

 

寄付金控除について

所得税では所得控除

寄付金控除は所得税では、寄付した金額と総所得金額等の40%のいずれか少ない金額から2,000円を差し引いた金額が所得控除額となります。

住民税では税額控除

所得税では所得控除となっていたものが、住民税では税額控除となります。

計算式

  • (寄付した金額-2,000円)✕10%
  • (総所得金額等✕30%-2,000円)✕10%

いずれか少ない方

ふるさと納税の寄付金ではこれに加え、さらに特別税額控除というものがあります。

住民税が減税されることには変わりない

他の所得控除とは違い、所得税では所得控除、住民税では税額控除の寄付金ですが、どちらにせよ住民税が減税されることには変わりありません。

 

住民税の所得控除は自動的に適用される

住民税は源泉徴収票や確定申告書から計算される

住民税はその人が住んでいる役所が計算をしますが、計算をもとになっているものは、源泉徴収票や確定申告書です。

源泉徴収票は会社が役所に送る

12月1月ごろに会社から本人に源泉徴収票が渡されますが、会社は源泉徴収票を役所にも送っています。給与支払報告書という名前ですが、源泉徴収票と全く同じものです。

確定申告書は税務署が役所に送る

確定申告書を税務署に提出をしますが、税務署はその申告書のデータを役所にも送っています。会社員が確定申告書をした場合は、給与支払報告書も役所に送られていますが、確定申告書を優先に住民税の計算を行います。

所得税で適用されていれば、住民税でも適用される

このように役所は源泉徴収票や確定申告書から住民税の計算を行っています。そのため、所得税で控除が適用されていれば、住民税でも必ず控除が適用されています。

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