【税理士監修】難しく複雑な税金制度を分かりやすく簡潔に!

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住民税

住民税が減額される税額控除とはどんなものがあるのか?

住民税(所得割)を直接減らす税額控除というものが所得税と同様にあります。一部限度額などが異なるものがありますが、所得税の所得控除と住民税の所得控除はほぼ同じです。しかし、税額控除では所得税では適用できて、住民税では適用できないものがいくつかあります。

調整控除

所得控除の中でも本人やその生計を一にする親族、配偶者の状況によって適用できる控除は人的控除といいますが、人的控除額は住民税の方が所得税よりも小さい金額です。それによる住民税の負担が増えてしまうことを調整するための税額控除です。

基礎控除で5万円の差額があるので、全ての人が計算の対象になります。

合計課税所得金額が200万円以下の場合

次のうちいずれか小さい金額

  1. 人的控除額の差の合計額 ✕ 5%
  2. 合計課税所得金額 ✕ 5%

合計課税所得金額が200万円超の場合

(A-B)✕ 5% 

  1. 人的控除額の差の合計額
  2. 合計課税所得金額-200万円

所得税にはない住民税だけの控除です。

 

住宅借入金等特別控除

マイホームをローンで取得、新築、増築した場合、一定の要件を満たすと適用できる控除です。

所得税で引ききれなかった分を住民税で引ける

基本的には住宅ローン控除は住民税から差し引くことはできません。しかし、所得税から控除しきれなかった住宅ローン控除額がある人のみ、上限金額まで住民税で差し引くことができます。

上限金額

住宅の取得等に消費税(8%、10%)がかかっているかどうかで変わります。

消費税がかかっている(特定取得)の場合

所得税の課税総所得金額×7%(最高136,500円)

消費税がかかっていない場合

所得税の課税総所得金額×5%(最高97,500円)

特定増改築等住宅借入金等特別控除では適用できない

所得税で差し引けなかった分を住民税で差し引くことができるのは住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)のみです。これと似たもので、ローンを組んで省エネ、バリアフリー、同居対応リフォームをした時に所得税を最大5年間控除できる「特定増改築等住宅借入金等特別控除」という制度がありますが、その制度では住民税を差し引くことができません。

 

配当控除

国内に本店がある法人から受けた配当所得があるときで、総合課税を選択して確定申告した場合に受けられる税額控除です。申告不要や申告分離課税を選択している場合には適用することはできません。

計算式

配当控除額 = 配当所得の金額 ✕ 控除率

控除率は配当の区分や本人の課税総所得金額等から決まります。

  課税総所得金額等が1,000万円以下の場合 課税総所得金額等が1,000万円超の場合
    1,000万円以下の部分 1,000万円超の部分
剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、金銭の分配、特定株式投資信託の収益の分配 2.8% 2.8% 1.4%
証券投資信託の収益の分配(一般外貨建等証券投資信託を除く) 1.4% 1.4% 0.35%
一般外貨建等証券投資信託の収益の分配 0.7% 0.7% 0.4%

所得税と計算方法は同じですが、控除率が異なります。

 

寄付金控除

認められた機関に寄付を行ったときに適用できる控除です。

寄付金税額控除

全ての寄付金が住民税で控除できるわけではない

所得税で税額控除や所得控除を行った寄付金のうち、全てが住民税で控除できるわけではありません。以下の5つに当てはまる寄付金しか適用できません。

  1. 都道府県・市区町村への寄付金(ふるさと納税)
  2. 住所地の都道府県共同募金会及び日本赤十字社支部への寄付金
  3. 住所地の都道府県が条例で指定した寄付金
  4. 住所地の市区町村が条例で指定した寄付金
  5. 住所地の都道府県、市区町村の両方が条例で指定した寄付金

国に対する寄付金や政党に対する寄付金は住民税で控除はできません。また、独立行政法人や公益財団法人、学校法人、認定NPO法人への寄付金などは、住んでいる都道府県や市区町村が認めたものに限ります。

住民税では税額控除のみ

所得税の寄付金は所得控除と税額控除の2種類があり、選択で適用しますが、住民税では税額控除しかありません。そのため、住民税で控除できる寄付金で所得税の所得控除をしたとき、住民税では税額控除が行われます。

計算式

(寄付した金額 - 2,000円 )✕ 控除率
(総所得金額等の30%が限度額)

控除率は上の寄付金の分類によって異なります。

分類 控除率
10%
10%
4%
6%
10%

寄付金特例税額控除(ふるさと納税)

都道府県・市区町村に対する寄付金(ふるさと納税)の場合は上の税額控除に加えて、さらに特例の税額控除が行われます。

計算式

(寄付した金額 - 2,000円 )✕ 控除率
(所得割額の20%が限度額)

控除率は所得税の課税総所得金額によって決まります。

所得税の課税総所得金額 控除率
195万円以下 84.895%
195万円超、330万円以下 79.79%
330万円超、695万円以下 69.58%
695万円超、900万円以下 66.517%
900万円超、1,800万円以下 56.307%
1,800万円超、4,000万円以下 49.16%
4,000万円超 44.055%

配当割額または株式譲渡所得割額の控除

上場株式等の配当や差益については、受け取り時に住民税と所得税が天引きされています。これらの所得について確定申告を行った場合、天引きされた住民税を差し引くことができます。差し引けない分については住民税の還付が行われます。

外国税額控除

国外の所得税が課税された場合、二重課税を避けるため、日本の所得税から差し引くことができる控除です。

所得税で引ききれなかった分を住民税で引ける

基本的には外国税額控除は住民税から差し引くことはできません。しかし、所得税から控除しきれなかった外国税額がある人のみ、住民税から差し引くことができます。

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