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相続税

相続税の税務調査で指摘を受けたときのペナルティはどんなものがあるのか?

税務調査によって申告内容の漏れや誤り、無申告を指摘された場合にはどのようなペナルティがかかってくるのかまとめていきたいと思います。

税務署がやってくる

税務調査が行われる

遺産相続から2~3年が経過すると、正しい申告がされているか、納めるべき相続税があるかといった調査を税務署が相続人の自宅などで行います。これを税務調査といいます。

亡くなった人全てに税務調査が行われるわけではありませんが、対象となる場合には、ある日突然電話がかかってきて、税務調査の予告とその日程調整の連絡がされます。

申告の内容に誤りや漏れがないか調査する

税務調査では申告の内容に誤りがないか、財産に漏れがないかを調べていきます。税務署は金融機関や保険会社をはじめ様々な機関とつながりがあるため、土地や不動産、預貯金、金融商品、生命保険金などの全ての財産に厳しい確認が行われます。

申告に誤りがあれば、調査の終了後に修正申告を行い、不足分の相続税を納めます。

申告をしていなくても調査が行われることもある

必ずしも相続税の申告をした人だけに税務調査がされるものではありません。相続税の申告をしていなくても、税務署は戸籍などからどの家に相続が発生したかは分かっています。

税務調査をした結果、相続税が発生しないと判断されれば、申告をしていなくても問題ありませんが、相続税が発生すると判断されれば、申告を行い相続税を納めなければなりません。

申告漏れや無申告には大きなペナルティがかかる

  • 申告をしていた人が、税務調査によって申告の内容に誤りや漏れが見つかって修正申告を行う
  • 申告をしていなかった人が、税務調査によって相続税が発生すると判断されて申告を行う

このような場合には申告や修正申告による相続税の納付だけでなく、それに追加してペナルティの税金が発生します。それぞれの場合に応じて税務署が判断したペナルティの税金がかかります。

 

申告に誤りが漏れが見つかったとき

相続税の申告をしていた人が、税務調査によって申告の内容に漏れや誤りが見つかった場合には、過少申告加算税と重加算税のどちらかのペナルティがかかります。通常なら過少申告加算税がかかりますが、誤りや漏れが悪質だと重加算税がかかってしまいます。

過少申告加算税

税務調査によって申告の内容に漏れや誤りが見つかって相続税の納付を行った場合にかかる税金です。納める相続税から10%をかけた金額が過少申告加算税となります。納める相続税が50万円を超える部分には15%の過少申告加算税がかかります。

計算

相続税額(1万円未満切り捨て) ✕ 10%
(50万円を超える部分は15%)

重加算税

相続税を減らすために、故意に財産を少なく申告するなどといった事実を仮装や隠蔽していた場合にかかる税金です。過少申告加算税と一緒に課されることはありませんが、重加算税の税率35%となっており、過少申告加算税よりもずっと重いペナルティです。

計算

相続税額(1万円未満切り捨て) ✕ 35%

 

相続税が発生するのに無申告だったとき

相続税の申告をしていなかった人が、税務調査によって相続税が発生すると判断された場合には、無申告加算税と重加算税のどちらかのペナルティがかかります。通常なら無申告加算税がかかりますが、悪質だと重加算税がかかってしまいます。

相続税がかからないときであっても、リスクを避けるために相続税がゼロで申告しておくのもひとつの方法です。

無申告加算税

税務調査で指摘を受けてはじめて申告をする場合にかかる税金です。納める相続税から15%をかけた金額が無申告加算税となります。納める相続税が50万円を超える部分には20%の無申告加算税がかかります。

計算

相続税額(1万円未満切り捨て) ✕ 15%
(50万円を超える部分は20%)

重加算税

相続税から逃れるために財産を隠して、故意に申告しなかったと認められる場合にかかる税金です。無申告加算税と一緒に課されることはありませんが、重加算税の税率40%となっており、無申告加算税よりもずっと重いペナルティです。

計算

相続税額(1万円未満切り捨て) ✕ 40%

 

延滞税もかかる

税務調査で発生した相続税は、もともとは正しく申告を行い申告期限までに納めなければならない税金です。そのため、過少申告加算税や無申告加算税、重加算税だけでなく、期限から納税が遅れたという延滞税も一緒に発生します。

利率は「申告期限から2か月後まで」と「それ以降」の2つに分かれていて、税務調査による相続税の納付をした日から本来の申告期限までの日数を計算期間として、納付した相続税に利率をかけて延滞税の計算を行います。

利率は毎年見直されています。平成30年の利率は以下のとおりです。

  • 申告期限から2か月後まで →年2.6%
  • それ以降        →年8.9%

計算式

  • 申告期限から申告書を提出日の2か月後まで
    ① = 相続税額(1万円未満切捨) ✕ 2.6% ✕ 日数 ÷ 365
  • それ以降
    ② = 相続税額(1万円未満切捨) ✕ 8.9% ✕ 日数 ÷ 365

延滞税の金額 = ① + ② (100円未満切り捨て)

重加算税じゃなければ特例がある

税務調査は遺産相続をしてから2~3年後あたりに行われます。税務調査の後に修正申告書や申告書を提出して納付を行えば、延滞税の計算期間は2年、3年となってしまい、延滞税が無申告加算税や過少申告加算税をも上回ることもあります。

このようなことを避けるため、延滞税の日数計算には特例が設けられております。

 期限内申告書の提出後1年以上経過して修正申告又は更正があった場合(重加算税が課された場合を除く。)には、法定納期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日又は更正通知書を発した日までは延滞税の計算期間から控除されます。
 また、期限後申告書の提出後1年以上経過して修正申告又は更正があった場合(重加算税が課された場合を除く。)には、その申告書提出後1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日又は更正通知書を発した日までは延滞税の計算期間から控除されます。

出典 国税庁 延滞税の計算方法 https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/entaizei/keisan/entai.htm

つまり、期限から2年や3年後に納付したとしても、この特例をうまく利用すれば計算期間を1年とすることができます。

この特例は重加算税がかからなかったときにしか適用されません。重加算税がかかる場合には延滞税までも多大な金額になってしまいます。

 

税務調査の連絡を受けてから自主的に申告をしたとき

税務署から税務調査の連絡を受けて、相続税の申告書を見直したとき、誤りや漏れに気づくことがあります。連絡を受けてから調査が入るまで一定の期間がありますが、その間に自主的に修正申告書や申告書を提出したときは、過少申告加算税や無申告加算税の税率が5%免除されます。

税務署に指摘されることが明らかだと考えられる場合には、この段階で申告をしてしまえば、ペナルティを軽減することができます。

過少申告加算税

相続税額(1万円未満切り捨て) ✕ 5%
(50万円を超える部分は10%)

無申告加算税

相続税額(1万円未満切り捨て) ✕ 10%
(50万円を超える部分は15%)

税務調査の連絡を受ける前に自主的に申告をしたとき

税務調査の予告の連絡を受ける前に自主的に修正申告書や申告書を提出したときにはさらに過少申告加算税や無申告加算税が免除されます。

過少申告加算税

税務調査の予告を受けてから修正申告をしたときにかかる税金です。そのため、自ら修正申告を提出した場合には一切かかりません。

無申告加算税

期限後に申告書を提出したときにかかる税金です。申告期限を過ぎて自ら提出した場合には無申告加算税はかかってしまいますが、さらに5%免除されます。

無申告加算税

相続税額(1万円未満切り捨て) ✕ 5%
(50万円を超える部分は10%)

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