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30万円未満なら全額経費にできる少額減価償却資産の特例とは?2019年も適用可能です。

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個人事業主や中小法人の事業者が大きく関わる少額減価償却資産の特例についてまとめました。節税にもつながる大事な制度です。

期限付きの制度ではありますが、2019年現在も適用できます1



少額減価償却資産の特例とは?

基本的に備品は10万円未満でないと全額経費にできない

事業で使用する備品や機械、ソフトウェアなどを購入したとき、それらを全額経費になるかどうかは取得金額によって決まります。

基本的に10万円未満のものについては、通常の経費と同じように購入した年に全額経費になりますが、10万円以上のものについては、その年に全額経費にすることはできず、何年かかけて少しずつ経費にしなければなりません2

10万円以上30万円未満も全額経費にできる特例

少額減価償却資産の特例とは、10万円以上30万円未満のものでも取得した年に全額経費にすることができるという制度です。

1点あたりの取得金額で判断する

複数まとめて購入した場合には、10万円以上30万円未満かどうかは、1点ごとの金額で判断します。

例えば、50万円でパソコンを2台購入したとき、その内訳が25万円×2台であるならば2台とも適用できます。一方、35万円と15万円という内訳なら15万円のパソコンしか適用できません。

対象となるもの

名前の通り減価償却資産に含まれるものは全て対象となります。主な減価償却資産は次の通りです。

区分 対象となる資産
有形 備品、器具工具、機械、装置、車両、運搬具、建物、附属設備、構築物など
無形 ソフトウェア、営業権(のれん)、特許権、商標権、意匠権など
その他 農業用の動物や植物

備品以外にも様々な範囲で対象となります。備品や車両など中古で購入したものも30万円未満なら適用できます。

節税の効果がある

利益が出た年に30万円未満の備品の購入や設備投資をして、少額減価償却資産の特例の適用を受けると、次の税金や保険料を減らすことができます。

  • 所得税
  • 住民税
  • 個人事業税
  • 国民健康保険料(税)
  • 介護保険料
  • 後期高齢者医療保険料

制度を有効に使えば大きな節税が見込めます。

一方、赤字のときは、純損失や欠損金の繰越控除額を大きくしてしまうだけなので、この場合は、要件を満たしていても適用しなくて問題ありません。ページ下でも説明していますが、耐用年数に応じた減価償却を行います。

取得金額と消費税について

税込か税抜のどちらで30万円未満を判断するかについては、その事業者や法人の状況によって異なります。まず、始めに消費税の申告があるかどうかで分かれます。

消費税の申告がない人(免税事業者)

消費税の申告がない人は取得したものが30万円未満かどうかは消費税込みの金額で判断します。

消費税の申告がある人(課税事業者)

法人税や所得税の申告と一緒に消費税の申告がある人は、消費税の会計処理の方法に応じて判断します。

  • 税込経理 → 消費税込みで判断
  • 税抜経理 → 消費税抜きで判断

税抜290,000円の備品を購入した場合、税抜経理では特例の対象となりますが、税込経理では30万円以上になるため対象となりません。

貸借対照表に「仮受消費税」や「仮払消費税」の勘定科目がある場合は税抜経理、ない場合は税込経理となります。

特例の適用ができる事業者

  • 青色申告の事業所得、不動産所得、山林所得の個人3
  • 資本金が1億円以下の青色申告の法人4

この特例は法人でも個人事業主でも適用できる制度ですが、青色申告をしていることが必須になります。

個人事業の青色申告

事前に税務署に「所得税の青色承認申請書」を提出することによって青色申告となります。

申請書の書き方や提出期限についてはこちらのページでまとめています。

少額減価償却資産の特例の限度額

1年間で合計300万円以下

この特例が適用できるのは、1年間で合計300万円以下と定められています。

例えば、29万円のパソコンを15台購入したとき、10台までは合計額290万円となるので、少額減価償却資産の特例の適用をできますが、11台目からは300万円を超えてしまうので、残り5台については適用することができません。

事業期間12か月未満の場合

個人事業の開業1年目、法人の設立1年目で事業期間が12か月未満になる場合には、限度額は月数×25万円で計算します。

事業期間の月数は切り上げて計算します。例えば、事業期間が7か月と10日の場合は8か月となり、限度額は200万円です。

適用できないものは耐用年数に応じて減価償却

限度額によって少額減価償却資産の特例ができなかったものに関しては、通常通り耐用年数に応じて減価償却をして、何年かに渡って少しずつ経費にしていきます。

10万円以上20万円未満は3年で償却できる

一括償却資産というまた別の制度が設けられており、取得金額が10万円以上20万円未満のものについては耐用年数に関わらず3年間で3分の1ずつ経費にできます。

少額減価償却資産の特例の適用はできなかったけど、なるべく早く経費にしたいという場合には、こちらの制度を使うこともできます。一括償却資産には限度額は定められていません。

少額減価償却資産の特例の適用を受ける方法

仕訳と申告書

制度の適用を受けるには、会計で少額減価償却資産の特例用の仕訳を行い、申告書に対象となる資産を明記します。

詳しくはこちらのページでまとめています。

期限後申告でもOK

青色申告が要件となっている制度は期限後申告だと適用できないものが多いですが、少額減価償却資産の特例は個人と法人どちらも期限後申告であっても適用を受けることができます。

しかし、期限後申告が連続で行われると、青色申告が取り消されてしまいます。翌年以降にこの制度が適用できなく恐れもあるので、期限内申告を心がけましょう。

  1. 現時点で2020年3月までの制度となっていますが、今後の税制改正で延長されるかもしれません。
  2. 例外的に10万円以上のものでも使用期間が1年未満の場合には全額経費にすることができます。
  3. 従業員が1,000人を超える場合には適用できません。
  4. 以下の場合にひとつでも当てはまると、資本金1億円以下であっても適用できません。
    ・従業員が1,000人を超える
    ・資本金1億円超の法人から出資を受けている子会社

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