無申告加算税が免除される方法についてまとめてみました。
所得税や個人の消費税、贈与税などをメインに説明しますが、法人の消費税や法人税、相続税にも共通します。
無申告加算税の免除
免除される方法やケースは次の3つがあります。
- 無申告加算税の金額が5,000円未満のとき
- 期限内申告をする意思があると認められるとき
- 正当な理由があると判断されたとき
ひとつずつ説明します。
5,000円未満
無申告加算税は国税の中でも附帯税の加算税の一つに含まれます。加算税の計算には次のようなルールがあります。
第九章 雑則
(国税の確定金額の端数計算等)
第百十九条
4 附帯税の確定金額に百円未満の端数があるとき、又はその全額が千円未満(加算税に係るものについては、五千円未満)であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。出典 e-Gov 国税通則法
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=337AC0000000066&openerCode=1#1025
計算した結果、無申告加算税が5,000円未満になった場合は免除されます。
自主的に期限後申告を行ったときの税率は5%です。この場合、納税額10万円未満なら、期限後に申告書を提出しても無申告加算税は一切かかりません。
計算方法についてはこちらのページでまとめています。
期限内申告をする意思
「期限内申告をする意思」とは、次の要件を全て満たすときに認められます。
- 法定申告期限までに納めるべき税金の全額を納めていること
(振替納税の場合は申告書の提出した日までに全額納付) - 申告期限の一ヶ月後までに申告書の提出を行なっていること
- 過去5年間で無申告加算税、重加算税を課されていないこと
- 過去5年間で無申告加算税の免除を受けていないこと
ひとつずつ詳しく説明します。
1.申告期限までに全額納税
所得税や贈与税なら3月15日まで、消費税なら3月31日までに全額の納付を済ましていなければなりません。つまり、申告書を提出する前に納税を済ますことが必須になります。
申告期限までに納税額が分からないときは、概算で税額を求め、少し多めに納付をします。金額が多かった分は、後日税務署から還付されるので不利益を被ることはありません。
振替納税を申請している場合
所得税や個人の消費税で振替納税の申請をしていると、納税の期限が「法定申告期限」から「申告書の提出した日」までに延長されます。
ただ、振替納税の申請は法定申告期限までとなっているので、3月15日までには、税金の納付か振替納税の申請を行わなければ、無申告加算税は免除されません。
振替納税についてはこちらのページでまとめています。
振替納税申請で納付期限が延長されるだけであって、自動引き落としされるわけではありません。
2.申告期限の1か月後までに申告
所得税や贈与税の申告書なら4月15日、個人の消費税は4月30日までに申告書を提出しなければなりません。
3.過去5年で課されていないこと
重加算税や無申告加算税を過去5年以内に課せられていると、期限内申告をする意思とは認められません。
4.過去5年以内に免除になっていないこと
「期限内申告をする意思」の免除の適用を受けてから5年間は再び使うことはできません。
あまり利用しないほうがいい
申告書の提出が遅れても無申告加算税が免除になる制度は設けられていますが、期限後申告をすると、青色申告特別控除が減額されたり、特例の適用ができなかったり、延滞税がかかったり、振替納税ができなかったりと他の様々なところで不利益を被ることが考えられます。
期限内に申告をすることが一番です。もし万が一のときだけ利用するようにしましょう。
正当な理由
地震や津波などの災害に遭ったり、納税者の責任が全てと言えない事情があったりなど、「正当な理由」と判断されば、無申告加算税が免除になります。
ただ、知らなかったや勘違いなどで期限後申告になってしまった場合は、「正当な理由」だと判断されません。
青色申告や特例の適用なども猶予される
正当な理由だと判断される場合には、無申告加算税の免除だけでなく、青色申告特別控除や特例の適用など申告期限が原則となっていることも猶予されます。災害に遭った場合は税務署に相談をして、余裕をもって申告してください。