個人事業税がかからない業種や事業者についてまとめてみました。
しっかりおさえておけば、思わぬ節税を行うことができます。
個人事業税の対象になる業種
70の法定業種
全ての個人事業主にかかる税金ではありません。70ある法定業種に該当する事業を営んでいる人が個人事業税の課税対象になります。
区分 | 法定業種 |
第1種事業 | 物品販売業1、保険業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、駐車場業、製造業、電気供給業、土石採取業、電気通信事業、運送業、運送取扱業、船舶ていけい場業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理店業、飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、両替業、公衆浴場業、演劇興行業、遊技場業、遊覧所業、商品取引業、不動産売買業、広告業、興信所業、案内業、冠婚葬祭業 |
第2種事業 | 畜産業、水産業、薪炭製造業 |
第3種事業A | 医業、歯科医業、薬剤師業、獣医業、弁護士業、司法書士業、行政書士業、公証人業、弁理士業、税理士業、公認会計士業、計理士業、社会保険労務士業、コンサルタント業2、設計監督者業、不動産鑑定業、デザイン業3、諸芸師匠業、理容業、美容業、クリーニング業、公衆浴場業、歯科衛生士業、歯科技工士業、測量士業、土地家屋調査士業、海事代理士業、印刷製版業 |
第3種事業B | あん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業、装蹄師業 |
不動産貸付業と駐車場業
不動産所得がある人は第1種事業の「不動産貸付業」もしくは「駐車場業」に分類されますが、土地や建物の貸付けしている規模で個人事業税の対象になるかどうか決まります。
個人事業税がかかる貸付規模というのは次のとおりです。建物の場合は空室も含みます。
所有している不動産 | 個人事業税の対象になる規模 | ||
建物 | 住宅 | 一戸建て | 棟数が10以上 |
それ以外 | 室数が10以上 | ||
住宅以外 | 独立家屋 | 棟数が5以上 | |
それ以外 | 室数が10以上 | ||
土地 | 住宅 | 契約件数が10以上または 貸付総面積が2,000㎡以上 |
|
住宅以外 | 契約件数が10以上 | ||
駐車場 | 10区画以上 |
上の表に満たさない小さな規模で貸し付けている場合には、不動産貸付業や駐車場業であっても個人事業税の対象からは外れます。
特殊な事情があったり、貸付けが複数にわたる場合には、その都道府県で判断が分かれます。気になる人は所轄の都道府県税事務所に相談しましょう。
広告業とアフィリエイト
広告業とは以下のように定義されています。
日本標準産業分類(平成25年[2013年]10月改定) > 学術研究,専門・技術サービス業 > 広告業 > 広告業 > 広告業
主として依頼人のために,広告に係る企画立案,マーケティング,コンテンツの作成,広告媒体の選択等,総合的なサービスを提供する事業所,新聞,雑誌,ラジオ,テレビ,インターネットその他の広告媒体のスペース又は時間を当該広告媒体企業と契約し,依頼人のために広告する事業所をいう。
出典 e-Stat政府統計の総合窓口 リンク
GoogleやASPの会社は広告業に該当しますが、アフィリエイターやユーチューバーは広告の作成などを行っているわけではないので、広告業には該当しません。
利益がなければ個人事業税もかからない
個人事業税は所得税のように、事業の利益金額から計算が行われます。
対象となる業種を営んでいたとしても、利益が少なかったり、赤字になっている場合には個人事業税はかかりません。個人事業税の計算はこちらのページでまとめています。
個人事業税の対象にならない業種
70の法定業種以外の事業
個人事業税の対象になるのは、70の法定業種だけです。70業種に当たらない事業を行っている人は個人事業税の対象にはならず、利益が発生しても個人事業税は非課税になります。
主な業種は以下のとおりです。
- システムエンジニア、プログラマー
- 建設業、一人親方、大工
- アフィリエイト
- 投資家
- 保険外交員
- 農業
- 文筆業(作家、漫画家)
- 画家や音楽家などの芸術家
- 通訳翻訳業
- 楽器修理業、ピアノ調律師
- プロスポーツ選手
- 芸能人
- ユーチューバー
- 林業
- 鉱物採掘事業
- 社会保険診療報酬
システムエンジニア、プログラマー
請負業とは、ある仕事の完成を引き受け、これを完成させることによって対価を得る事業をいいます。
システムエンジニアやプログラマーなどは事業の形態によっては請負業に該当することがあります。また、ソフトウェアの制作をしている場合は製造業とみなされることもあります。
申告書の書き方
個人事業税の対象にならない事業を行っている人は、所得税の確定申告書に金額を記入する必要があります。
申告書の第二表の下の「事業税」の欄の「非課税所得」に②と入れ、青色決算書の「青色申告特別控除前の所得金額」を転記します。
「事業税」のその他は欄には何も記入しません。
個人事業税の対象になる事業も営んでいる場合
事業を複数営んでいて、個人事業税が対象になる事業がある場合は、対象になる事業を除いた所得金額を記入します。
都道府県から回答書を求められることがある
「非課税所得」を記入していると、後日、都道府県からどのような事業なのか細かい内容を回答書で求められることもあります。
事業の形態によっては、個人事業税の対象になるか判断が難しいものも多くあります。最終判断は都道府県になるので、必ず回答を行うようにしましょう。都道府県の決定に不服がある場合には、不服がある場合には不服申立てをすることができます。