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所得税

個人事業主の給与支払事務所等の開設届出書の書き方、記入例

個人事業の場合の給与支払事務所等の開設届出書の書き方についてまとめました。提出が必要になる人も整理しています。

給与支払事務所等の開設届出書とは?

税務署に給与の支払いがあると知らせる書類

従業員に給与を支払うとき、金額によっては所得税の天引きを行います。天引きした所得税は事業主がまとめて税務署に納めます1。給与支払事務所等とはこの個人事業主のことを言います。

つまり、給与支払事務所等の開設届出書とは、従業員を雇って給与の支払いが始まったことを税務署に知らせる書類です。届出を提出すると、源泉所得税の納付書や年末調整の案内や用紙など従業員を雇ったときに必要な書類が送られてきます。

給与支払事務所等の開設届出書が必要な場合とは?

開業時には提出する必要はない

開業時から正社員やパート・アルバイト、家族(専従者)を雇う場合には、従業員の情報を開業届に記入します。この開業届が給与支払事務所等の開設届出書の代わりになるので、開業時から従業員を雇っている場合、提出する必要はありません2

途中で従業員を雇う場合は必要

開業後しばらくしてから正社員やパート・アルバイト、家族(専従者)を雇う場合には、税務署に給与の支払いが始まることを知らせないとならないので、給与支払事務所等の開設届出書を提出する必要があります3

基本的に法人は必ず提出する書類になりますが、個人事業主は一部の場合にのみ必要になります。

記入する前に

提出の期限について

この届出書の提出には期限が設けられています。従業員や家族(専従者)を初めて雇ってから1か月以内に提出することとなっています。

しかし、青色申告承認申請書のように期限を過ぎたからといって、なにか不利益を被るわけではありません。遅れてしまったとしても速やかに提出しましょう。

用意するもの、必要書類

  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書
  • 印鑑(認め印で構いません。)
  • 個人事業の開業届
  • マイナンバー通知カード

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

PDF形式で国税庁のwebサイトにアップロードされています。印刷して手書きで作成することも可能ですが、直接PDFに入力してから印刷することも可能です。
  給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書(国税庁webサイト)

また、書類は税務署で受け取ることもできます。

開業届を用意する

納税地など開業届で示した事柄を給与支払事務所等の開設届出書に転記するので、はじめに開業届の控えを用意をします4

給与支払事務所等の開設届出書の書き方

6つのブロックに分けて説明します。囲っていないところには何も記入しません。

届出名

タイトルは「開設」に丸を入れます。

税務署

開業届に記入した税務署を記入します。

日付は空欄で構いません。記入したからといってその日付が提出日になるわけではありません。税務署が受け取った日(郵送なら消印の日付)が提出日となります。

個人情報

個人事業の開業届を見ながら、本人の個人情報を記入して、押印をします。

住所又は本店所在地

開業届に記入した「納税地」を記入します。

氏名又は名称

本人の氏名を記入して押印をします。実印を押す必要はありません。認め印で構いません。

個人番号または法人番号

本人のマイナンバーを記入します。左の1マスは空欄にします。

代表者氏名

空欄にします。法人が記入する場合に使用します。

開設、開始年月日

開設・移転・廃止年月日

従業員や家族(専従者)を初めて雇った日を記入します。

給与支払いを開始する年月日

初めての給与の支給日を記入します。

届出の内容

開設の「開業又は法人の設立」にチェックを入れます。

従事員数

雇う人数を記入します。

  • 従業員 → 正社員、パート・アルバイト
  • 専従者 → 配偶者や家族

これで記入は以上になります。

家族を雇うときは「青色専従者給与に関する届出書」の提出も必要になります。書き方についてはこちらのページでまとめています。

提出の方法

どちらかを選ぶ

  • 郵送による提出
  • 直接窓口で提出

2種類のどちらかの方法で税務署に届出を提出します。

マイナンバー書類も一緒に提出する

給与支払事務所等の開設届出書は本人確認書類としてマイナンバー通知カードと身分証明書5の提示が必要になります6

窓口で提出

届出を窓口で提出する場合は、マイナンバー通知カードと身分証明書を持参して、税務署の職員の人にその場で提示します。

郵送で提出

一方、郵送による提出の場合は、マイナンバー通知カードと身分証明書のコピーを給与支払事務所等の開設届出書と一緒に添付して送らなければなりません。

コピーしたものをそのまま提出することも問題ありませんが、国税庁に台紙が用意されていますので、それに貼り付けて提出することも可能です。
  添付台紙(国税庁webサイト)

国税庁のwebサイトから税務署の住所を確認して、長形3号の封筒で送りましょう。
  確定申告書の提出先(国税庁webサイト)

「長形3号」とはA4用紙を3つ折りにして入る大きさの封筒です。特に指定はありません。市販のものを用意しましょう。

郵送でも切手を貼り付けた返信用封筒を一緒に送れば、収受日付印が押された控えを送り返してもらえます。

  1. 天引きした所得税がないときは、所得税が0円であることを税務署に報告する必要があります。
  2. ちなみに廃業のときも個人事業の廃業届が代わりになるので、給与支払事務所等の廃止届出書を提出する必要はありません。
  3. その他、納税地を変更したときは所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書と一緒に給与支払事務所等の移転届出書を提出する必要があります。
  4. 開業届の控えが手元にないときは、税務署まで行き閲覧の請求をしましょう。閲覧した開業届は税務署から持ち出すことはできないので、税務署内で給与支払事務所等の開設届出書の記入をすることになります。印鑑などを忘れないようにしましょう。
  5. 身分証明書として認められている主なものは次のとおりです。
    ・運転免許証
    ・パスポート
    ・社員証、資格証明書
    ・年金手帳
    ・印鑑登録証明書
  6. マイナンバーカードの提示でも可能です。

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