平成28年より始まったマイナンバー制度は税、社会保障、災害対策の3つの分野で活用されます。確定申告といった税金の申告でも必要になりますが、提示を拒否、記入をしなくても問題ないのかまとめてみました。
マイナンバーと確定申告
個人の税金の申告で提示する
公平で公正な社会を実現するために、平成28年1月1日よりマイナンバー制度が日本で導入されました。
- 所得税の確定申告
- 個人の消費税の申告
- 贈与税の申告
- 相続税の申告
税金の分野でも適正に課税をしていくため、このような申告書を提出する際には、マイナンバーの提示が必要になりました。所得税の確定申告は平成29年以降に行う申告から毎年提示することとなりました。
平成31年(2019年)に行う所得税の申告や贈与税の申告、個人の消費税の申告でも申告書にマイナンバーを記入し、番号通知カード(もしくはマイナンバーカード)の提示もしくはコピーの提出が必要です1。
マイナンバーの記入は義務
納税者側のメリットが少なかったり、個人情報を開示したくない、情報漏洩を防ぎたいといった理由で申告書の提出の際にマイナンバーを提示したくないという人も多いと思います。
マイナンバーの提示について国税庁では以下のように示しています。
Q2-3-1 申告書や法定調書等を税務署等に提出する場合、必ずマイナンバー(個人番号)・法人番号を記載しなければなりませんか。(平成30年6月29日更新)
(答)
番号法整備法や税法の政省令の改正により、税務署等に提出する申告書や法定調書等の税務関係書類にマイナンバー(個人番号)・法人番号を記載することが義務付けられました。
したがって、申告書や法定調書等を税務署等に提出する場合には、その提出される方や、扶養親族など一定の方に係るマイナンバー(個人番号)・法人番号の記載が必要となります。出典 国税庁 番号制度概要に関するFAQ https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/FAQ/gaiyou_qa.htm#a23-1
法律の制定によりマイナンバーの提示は義務となりました。つまり、「しなければならない」ことです。
8割以上の人が記入している
少し古いですが、日経新聞にこのような記事がありました。
マイナンバー、83%が記載 16年分の確定申告
国税庁は31日、2016年分の個人の確定申告の状況を発表した。所得税の確定申告を提出したのは2169万人で前年からほぼ横ばいだった。16年分からマイナンバーの記載が義務化され記載率は83%だった。
出典 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG31H65_R30C17A5CR8000/
マイナンバー初年度の確定申告では8割以上の人が記入をしていると報告されています。おおよその人が記入しているという状況です。
記入しなくても受理される
マイナンバーがなくても申告書の提出ができるかどうかは、このように示しています。
Q2-3-2 申告書等にマイナンバー(個人番号)・法人番号を記載していない場合、税務署等で受理されないのですか。(平成29年9月7日更新)
(答)
税務署等では、社会保障・税番号<マイナンバー>制度に対する国民の理解の浸透には一定の時間を要する点などを考慮し、申告書等にマイナンバー(個人番号)・法人番号の記載がない場合でも受理することとしていますが、マイナンバー(個人番号)・法人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務ですので、正確に記載した上で提出してください。出典 国税庁 番号制度概要に関するFAQ https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/FAQ/gaiyou_qa.htm#a23-2
マイナンバーの記入は義務付けられていますが、マイナンバーを記入していない申告書であっても受理はされます。ただし、記入していない場合は、後日税務署から連絡が来ることもあるそうです。
国税庁が運営している「確定申告書等作成コーナー」でもマイナンバーの記入が求められていますが、マイナンバーがなくても申告書のプリントアウトや電子申告(インターネットで申告)をすることができます。
記入しなくても罰則はない
マイナンバーを記入していないと罰則規定があるかどうかは、このように示しています。
Q2-3-3 税務署等が受理した申告書等にマイナンバー(個人番号)・法人番号の記載がない場合や誤りがある場合には、罰則の適用はありますか。
(答)
税務署等が受理した申告書や法定調書等の税務関係書類にマイナンバー(個人番号)・法人番号の記載がない場合や誤りがある場合の罰則規定は、税法上設けられておりませんが、マイナンバー(個人番号)・法人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務ですので、正確に記載した上で提出をしてください。出典 国税庁 番号制度概要に関するFAQ https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/FAQ/gaiyou_qa.htm#a23-3
現在のところ、マイナンバーを申告書に記入していないからといって特に罰せられたり、不利益を被ることは一切ありません2。
以上のことをまとめると、マイナンバーの記入は義務となっていますが、拒否をしたからといって何かあるというわけでもなく、記入しなくても問題なく申告はできてしまいます。
記入しなくていいわけではない
罰則規定はありませんが、記入しなくていいというわけではありません。
マイナンバーは等しく課税をするために設けられた制度です。現在のところは個人の判断に委ねている部分が大きいですが、法律で義務となっていることですので、記入提示することが望ましいです。
嫌な問題も起きてしまっている
マイナンバーについてこのような問題が発覚しました。
東日本大震災国税庁委託先がマイナンバーなど個人情報70万件漏えい
国税庁は14日、東京、大阪両国税局からデータ入力を委託されていた業者が契約に反して別業者に再委託し、マイナンバーなど個人情報が含まれる約70万件の書類を流していたと発表した
出典 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20181214/k00/00m/040/179000c
委託した民間の業者が起こしてしまった問題ですが、納税者が安心してマイナンバーが記入、提示ができるようにするためにも、質の高い業者を選定したり、マイナンバーは内部だけで処理するなど情報漏洩についての対策、防止がより向上することが求められます。
納税者のメリットもほしい
マイナンバー制度では納税者の利便性も掲げられていますが、現在は住宅ローン控除などの特例を適用するときに提出する住民票が必要ないといった程度のメリットしかありません。
納税者が進んで記入できるようになるためにも、行政側のメリットだけでなく、納税者側の大きなメリットも用意してもらいたいものです。