普通に生活をしていても、思わぬところで収入を得ることがあります。所得税ではこのような臨時の偶発的な収入も一時所得として課税をさせています。非課税の範囲はございますがそれを超えると、年末調整をしている会社員の方であったら、確定申告をしなければなりません。
課税される所得(一時所得)の例
- 賞金や懸賞当せん金
- 未払い残業代などを裁判所が労働者の請求に基づいて、会社側に支払いを命ずるお金
- 競馬や競輪、競艇、オートレースの払戻金
- 遺失物拾得や埋蔵物発見で受ける報労金
- 遺失物拾得や埋蔵物発見で受ける新たに所有権を取得する資産
- 生命保険や損害保険の一時金、満期返戻金
- ふるさと納税の返礼品 など
課税されるのは金銭だけではありません。
一時所得の計算
一時所得の課税される金額=
{総収入金額-収入を得るために支出した金額(経費)-特別控除額(50万円まで)}×0.5
総収入金額200万円、経費0円の場合は、一時所得の金額は75万円となります。
総収入金額200万円、経費180万円の場合は、一時所得の金額は0円となります。
収入金額の定め方
一時所得はお金のみだけではございません。貴金属や宝石など商品等の経済的利益も含まれます。商品は基本的にはその受けることとなった日の時価で算定します。株式などの有価証券の時価はインターネットで金融機関のウェブサイトにアクセスすれば算定することができます。
貴金属や骨とう品の時価はそうは簡単にはいきません。同じ商品が市場でどれくらいの価格で取引されているか売買実例価額と専門家の知見や鑑定結果によって得られた精通者意見価額、この2つの価額を参考にした上で決定します。実際、商品によっても対応が変わってくるので税務署に個別に相談をされた方がいいでしょう。
経済的利益 | 評価方法 |
株式などの有価証券 | 時価額 |
商品券 | 券面額 |
貴金属、宝石、骨董、美術工芸品 | 時価額 |
土地や建物 | 時価額 |
会社員の確定申告をしなくていい範囲
90万円以下なら気にしなくていい
一時所得は特別控除額が50万円と定められています。年末調整している会社員は一時所得の収入が90万円以下であれば、無条件で確定申告をする必要はありません。年末調整をしている方は給与と退職以外の所得が20万円以下であれば確定申告をしなくていい特例があるからです。
満期返戻金は経費がある
生命保険のように、満期返戻金のために払っていた保険料がございます。収入を得るために支出していた金額(経費的なもの)は収入から差し引き保険差益部分が課税されます。そのような場合、収入の金額が90万円を超えていたとしても、確定申告をする必要がないこともあります。
生命保険等の一時金や満期返戻金は支払調書で確認する
その年に保険の一時金や満期返戻金があった場合は保険会社より支払調書というものが送られてきます。支払調書には保険金(収入)や保険料(支出した金額)や被保険者、受取人などが記載されております。確定申告をしなければならないのかを確認することができます。生命保険金は契約の形態によっては、一時所得(所得税)ではなく、贈与税と認められるケースもございます。ルールが複雑なので、専門家でないと分からないケースもございます。一度、支払調書を持って税務署や税理士に質問しに行くことをおすすめします。詳しくはこちらで説明しています。
基本的に公営ギャンブルの外れ券は経費に当たらない
例えば、競馬で5万円の馬券を10枚買って、そのうち1枚を当て200万円が払い戻されたとします。200万円の収入のうち、支出した金額(経費)として差し引くことができるのは、当たり馬券の購入金のみの5万円です。その他の外れ馬券45万円分は経費として認められません。実際にお金を賭けた側からすると、外れ馬券もあるからこそ当たったという考え方から外れ馬券も経費にしたくなりますが、所得税ではそれは認められておりません。
しかし、競馬などの公営ギャンブルを営利目的として、独自のソフトウェアで計算式に基づいてインターネットを介して継続的に金銭を投じている場合は、外れ馬券も経費として認められます。この場合の所得は臨時の偶発的なものではくなってしまうため、一時所得ではなく雑所得に該当します。
ふるさと納税の返戻品も一時所得になる
節税ができ、地方の特産品がもらえるふるさと納税が流行っておりますが、その特産品などの返礼品も一時所得の課税の収入となってしまいます。返戻品は時価で求めますが、各市町村ではその返礼品の価格を表示していないため、時価を求めるには各市町村に問い合わせをするしか方法はありません。
年収数千万円でない限り気にしなくていい
一時所得は50万円までは非課税です。一般的にふるさと納税の還元率は30から40%と言われております。ふるさと納税の寄付金で120万円ほど納めないと返礼品で50万円相当を超えません。120万円もふるさと納税をしているような人は年収数千万円以上の富裕層のみです。通常なら一時所得のことなど気にせず問題なくふるさと納税をすることができます。しかし、他にも一時所得があった場合には返礼品の課税も検討する必要があります。