一部の健康保険が効かない診療(自由診療)も医療費控除の対象となります。保険外負担の医療費控除についてまとめてみました。
病院で多額の負担をしたという人はチェックしましょう。
病院で受ける保険外負担
インフルエンザの予防接種、ワクチン
医療費控除の対象になるのは、治療や診療に対しての金額です。インフルエンザのワクチンは予防のための費用になるので、医療費控除の対象にはなりません1。
健康診断、人間ドックなど
- 健康診断
- 人間ドック
- メタボ健診
- 出生前検査
- アレルギー検査
- x線検査
- がん検診
- エイズ、性病検査
基本的にこれらの健診や検査は、治療や診療のための費用とはならないため、医療費控除の対象にはなりません。
ただし、健診や検査で病気が見つかり、引き続きその病気の治療を受けた場合には、健診や検査の費用が病気に先立った診察の費用とみなされるため、医療費控除の対象になります。
人間ドック・健康診断等の費用(国税庁webサイト)
また、メタボを改善するための運動療法に利用したスポーツジムなどは医師の治療の費用ではないため、医師の勧めで利用したとしても医療費控除の対象にはなりません。
特定保健指導に基づく運動施設の利用料(国税庁webサイト)
美容整形、脱毛
美容外科やエステなどで受けられる美容整形や脱毛の費用は、容貌を変える施術であって治療には当たらないため医療費控除の対象にはなりません。
エステだけでなく、美容皮膚科などの医療機関で受けられるレーザー脱毛であっても同様です。
レーシック手術
レーシック手術やオルソケラトロジー治療(角膜矯正療法)の費用は視力を回復するための医師の治療に当たるため医療費控除の対象になります。
眼科医に支払う治療費等(国税庁webサイト)
ちなみに、近視や遠視のためのメガネやコンタクトレンズの購入費用は視力回復の治療のための費用ではないので医療費控除の対象にはなりません。
不妊治療、人工受精
不妊治療(人工受精や体外受精)の費用は、治療によって妊娠できたかどうかは関係なく、医療費控除の対象になります。
不妊症の治療費・人工授精の費用(国税庁webサイト)
市区町村から助成を受けている場合は、その助成金を差し引いた本人の負担額が計算の対象になります。
その他、医療費控除の対象になる保険外負担
- ニコチン依存症と診断されたときの禁煙治療
- 人工透析
- 重粒子線がん治療
- ED治療
その他、これらの保険外負担も医療費控除の対象になります。
その他、医療費控除の対象にならない保険外負担
- 医師や看護師への贈答品、謝礼
- 診断書作成料
- AGA薄毛治療、育毛費用
- ピアスの穴あけ
- しみ、ほくろの除去
- パイプカット
これらは治療や診療の費用ではないため、医療費控除の対象にはなりません。
状況によって変わることも
一般的には対象にならない場合であっても、その時の状況によっては認められることもあります。判断がつかないときは税務署に問い合わせることをおすすめします。
税務署は平日の8時半から17時までなら電話でも問い合わせをすることができます。
税務署の所在地(国税庁webサイト)
歯医者で受ける保険外診療
歯列矯正
子どもの歯科矯正
子どもの歯科矯正は発育段階にある子どもの成長を阻害しないために必要な治療と考えられているため、医療費控除の対象になります。
大人の歯列矯正
一方、大人の歯科矯正は審美目的とみなされるため医療費控除の対象にはなりません2。
歯列を矯正するための費用(国税庁webサイト)
インプラント、セラミック
入れ歯や差し歯をインプラントやセラミックにした場合でも、これらの費用は医療費控除の対象にはなります。
医療費控除の要件として「一般的な金額の水準を超えないこと」とあります。自由診療の金歯や金冠、セラミックは通常の銀歯と比べかなり高額になりますが、国税庁では一般的な治療費とみなしています。
金やポーセレンを使用した歯の治療費(国税庁webサイト)
その他、歯医者でかかる費用についてはこちらでまとめています。
医療費控除の書き方
翌年の2月3月ごろに自分で確定申告書を作成して税務署に提出します。申告書第一表と第二表、医療費控除の明細書に必要事項を記入することによって適用を受けることができます。
書類の書き方についてはこちらでまとめています。
会社員の人の確定申告の書き方は別にページを設けています。