FX取引(外貨為替証拠金取引)とは一定の証拠金を預け外貨を売買することです。通貨を保有している間に生じる売買している通貨間び金利差による利益と売買による為替差益で利益を得る仕組みです。近年はインターネットの発達により、パソコンやスマートフォンで簡単に取引ができるようになりました。そのため、サラリーマンの方なども取引を行っている人は増えています。
FX取引による利益の種類
為替差益
為替レートは日々変動します。通貨を買った時と売った時の為替の違いによって得られる利益です。
1米ドル80円の時1万ドルを買い、1米ドル100円の時に1万ドルを売った場合、20万円の利益を得られます。この利益が為替差益です。
スワップポイント
通貨にはそれぞれ国が定めた金利があります。金利はそれぞれの通貨によって異なります。その買った通貨と売った通貨の金利差によって得られる利益です。
100万円を売って米1万ドルを買って1年間保有した時、両者の金利差が2%の場合、2万円の利益を得られます。この利益がスワップポイントです。
FX取引と税金
1月1日から12月31日までに取引したことによって生じる為替差益とスワップポイントの合計が税金の計算をするもととなります。
一律で所得税率は15.315%、住民税率は5%
給与や事業による所得は累進課税という方法で計算をするので、年収1,000万円と年収500万円とは税率が異なってきます。一方、FX取引によって生じた利益に対する税金は全て一律の税率(所得税15.315%、住民税5%)で計算します。したがって、利益が1,000万円でも1億円でも同じ割合の税率で計算されます。
給与所得や事業所得、株式の利益などと損益通算をすることはできない
FX取引によって、損失(マイナス)が発生してしまう場合もあります。その損失を給与所得や事業所得、株式の利益、配当金収入などに相殺して納める税金を減らすことはできません。FX取引は申告分離課税というものに分類されます。それは他の所得とは分けて税金を計算するというものです。そのため、他の所得と合算(損益通算)することができません。
先物取引や相対取引とは損益通算できる
FX取引は所得税では「先物取引に係る雑所得等」に該当します。FX取引以外にも、この所得に当てはまるものは先物取引や相対取引などがございます。このような取引を並行で行っている場合、一方で利益が発生して、他方で損失が発生した場合、損益を相殺することができます。
一年のうちにFX取引で100万円の利益が生じ、先物取引で80万円の損失が生じた場合、損益を相殺し利益20万円で税金の計算を行います。
損失を3年間まで繰り越すことができる
確定申告で繰越損失の申告を行うことによって、FX取引によって生じた損失は最大3年間繰り越すことができます。
平成29年に損失1,000万円が発生し、翌年平成30年に600万円の利益が出た場合、本来であれば、600万円から税金の計算を行いますが、前年の1,000万円のマイナスと相殺することができるので、税金はゼロになり、繰越損失は400万円になります。
さらに翌年平成31年に700万円の利益が出た場合、本来であれば、700万円から税金の計算を行いますが、繰越損失400万円と相殺することができるので、利益300万円から税金の計算を行います。
経費は原価や手数料だけではない
FX取引のためにかかった経費は利益から差し引くことができます。購入にかかった費用(原価)や売買手数料、出金手数料だけかと思われますが、FX取引のためにかかった費用であれば経費に入れることができます。
- FX取引に関する書籍
- FX取引に関するセミナー、講習会の参加費、交通費
- 取引のためのスマホ、パソコンの代金
- インターネット通信料 など
経費として認められるかどうかの基準はその費用がFX取引にどれだけ関わっているかです。スマホ代や通信料は全てFX取引のために支出しているとは考えられませんが、FX取引に関わっていることを説明できれば、金額の一部を経費に入れることもできます。領収書や明細書などは大切に保管をしておきましょう。
年末調整をした会社員で確定申告しなければならないのは
利益が出た場合
FX取引による利益が20万円超えてしまうと、確定申告をしなければなりません。
利益が20万円以内であれば確定申告をしなくても問題ありません。
損失が出た場合
損失は3年間繰り越すことができますが、確定申告をしていなければなりません。そのため、基本的には損失が発生した場合でも確定申告をする必要はあります。しかし、損失が僅かであったり、今後FX取引をする予定がないなど、3年間の繰越控除を受ける必要がない判断している場合であれば、確定申告をする必要はありません。