個人の住民税は均等割や所得割の他に利子割というものもございます。あまり聞かない名前かもしれませんが、実は多くの人が気づかないうちに納めている税金です。どのような税金なのかまとめていきたいと思います。
利子割とは?
その名の通り、利子割とは利子や利息にかかる税金です。都道府県に納める地方税のひとつになります。
しかし、全ての利子割にかかるわけではなく、以下の利子にかかります。
- 銀行や信用金庫などの預金
- 特定公社債以外の公社債(私募債など)
- 抵当証券や金投資口座、一時養老保険などの金融類似商品
つまり、お金を預けている金融機関の口座に定期的に入ってくる利子や利息には利子割がかかっています。
国税もかかっている
給与所得や事業所得も所得割(地方税)と所得税(国税)がかかっていますが、以上の利子や利息にも、利子割(地方税)だけでなく、所得税(国税)もかかっています。
利子割を納めるのは金融機関
給与から天引きされる所得税や住民税は会社が本人の代わりに納付をしています。この方法を特別徴収といいますが、利子割も同様に特別徴収をしています。
利子や利息が入金されるとき、利子割と所得税はすでに差し引かれていて、金融機関はそれを納税者の代わりに税務署や各都道府県に納付をしています。本人が直接納めているわけではないので、あまり馴染みがありませんが、実は多くの人が知らないうちに納めている税金なのです。
税率は?
利子割はその利子の金額から税率をかけて計算します。税率は以下のとおりです。
税金 | 税率 |
利子割 | 5% |
所得税及び復興特別所得税 | 15.315% |
合計で20.315%が天引きされています。つまり、利子や利息の79.685%分が口座に入金されています。
計算方法
日常で利子割の金額が必要になるときはありませんが、受け取った利子や利息から計算する方法は以下のようになります。
計算式
受け取った利子の金額÷79.685%=A(1円未満切り捨て)
A ✕ 15.315% = 所得税(1円未満切り捨て)
A ✕ 5% = 利子割(1円未満切り捨て)
端数計算があるので、入金される利子や利息の金額が16円以上から利子割がかかってきます。
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確定申告や住民税の申告は必要ない
このように金融機関が代わりに納めている税金となっているため、利子割について確定申告や住民税の申告をする必要はありません。6月ごろに届く住民税の決定通知書にも利子割は記載されていません。
非課税となる利子
利子割が非課税になるときは、所得税も非課税となります。
- 少額預金の利子等の非課税制度(マル優)
- 少額公債の利子の非課税制度(特別マル優)
この制度は障害者の人や遺族年金を受給している妻などが対象となっており、どちらも元本の額が350万円までの利子の利子割が非課税となります。
- 財形形成住宅貯蓄
- 財形形成年金貯蓄
勤労者などの一定の要件を満たす人が対象となっており、2つの貯蓄の元本の合計が550万円までの利子の利子割が非課税となります。
また、この他にも非居住者が受ける利子の利子割も非課税となります。しかし、現在は利子や利息の利率がとても低いのでそれに係る利子割が非課税かどうかなどあまり気にしないという人も多いかもしれません。
特定公社債とは?
上記の利子割がかかる利子の一覧にあった特定公社債とは、国債、地方債、外国債、外国地方債、公募公社債、上場公社債などのことを言います。
利子割はかからないけど
かつては特定公社債の利子にも利子割がかかっていました。しかし、税制改正により、平成28年1月1日以降に受ける特定公社債の利子にかかる利子割が廃止され、新たに配当割が課されるようになりました。
利子割から配当割に変わり、役所や金融機関内での手続きに変更がありますが、税率も同じ5%なので、利子を受け取る人に大きな変更点はありません。
かつて利子割は法人にもかかっていた
現在、利子割は個人だけにかかってくる税金ですが、平成27年12月31日までは法人にもかかっていました。
技術の進歩もあり、個人名義の口座と法人名義の口座ごとに対応することが金融機関にとって容易になってきたこともあり、このような改正となりました。平成28年1月1日以降の法人の利子は所得税及び復興特別所得税の15.315%のみがかかっています。