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所得税

雑損控除の対象となる災害や盗難、横領とは?シロアリや台風もOK?!

雑損控除の適用を受けられる損害や損失の発生原因についてまとめました。幅広い範囲で適用を受けられるので、被害を受けた人は確認しましょう。

災害

災害の中でも3つに分類されます。

  • 自然現象による災害
  • 人間による災害
  • 生物のよる災害

災害によって損害を受けたときは、自宅や自家用車、家財の損害額だけでなく、原状回復などの災害後にかかる費用も雑損控除の損害金額に加わります。

3つの災害を詳しくまとめました。

自然現象による災害

自然災害

地震、津波、台風、大雨、洪水、強風、高潮、落雷、冷害、干害、雪害、噴火、土砂崩れ

雑損控除の災害は地震や津波だけでなく、台風や大雪なども対象になります。台風による強風や大雨などで自宅や自家用車に被害が起きたときも確定申告によって所得税や住民税を減らすことができます。

被害金額は、保険会社から保険金を受け取っている場合には、損害額から保険金を差し引いた実質の負担額で計算します1

雪降ろし費用も対象になる

大雪によって自宅や自家用車、家財に被害を受けたときは雑損控除の対象になりますが、被害を受けていなくても、被害を防ぐために行った除雪費用も対象になります。具体的な費用は次のとおりです。

  1. 人件費
    雪おろし等のために雇用した人夫(整形をいつにする親族及び同一家屋内で生活している親族を除きます。)に係る次の支出
    ・支出した賃金等(日当、時間給又は請負の場合の請負金額)
    ・人夫に支払った旅費、除雪用具等の借損料
    ・人夫に食事を供した場合は、その費用
  2. 除雪機械等の借上料
    雪おろしのために機械類や運搬用の車両を借り上げた場合の借上料及び借主が負担した燃料費
    (注)屋根からおろした雪などを投棄するため、自己が所有するブルドーザーや貨物自動車を使用した場合の燃料費も雑損控除の対象となります。
  3. 町内会等が行った雪おろし費用の分担金
    個人の家屋の雪おろし等を町内会等が行った場合において、その費用(前記1及び2に掲げる費用に該当するものに限ります。)を個人が負担したときの,その分担金

出典 『災害にあったときの所得税の軽減・免除』 一般財団法人大蔵財務協会

雪国の人は毎年雑損控除の適用ができるかもしれません。

雨漏りは場合による

豪雨や強風によって家の中に雨水が入ってきた場合、その修繕費用は雑損控除の対象となりますが、建物の老朽化などで雨漏りしてしまった場合には対象にはなりません。

人間による災害

災害

火災、爆発事故、耐震強度偽装など

保険金や被害を起こした側から損害賠償金が受け取った場合には、損害金額から差し引いた実質の負担額が対象となります。

交通事故は場合による

単独の自損事故や衝突事故、当て逃げなど自分が車を運転していたことによる交通事故は「人間による災害」とまでは考えられないため、自家用車に被害が遭ったとしても雑損控除の適用を受けることは難しいです。自宅や駐車していた自家用車に車が突っ込んできたりする場合には適用を受けられるかもしれません。

状況によっても異なるので、管轄の税務署に問い合わせてみることをおすすめします。税務署は平日の8時半から17時までなら電話でも相談することができます。
  税務署の所在地(国税庁webサイト)

もちろん、保険金や加害者からの賠償金を受け取った場合は、被害額から差し引いた金額が対象になります。

生物のよる災害

災害

害虫被害(ねずみやスズメバチなど)、害獣被害

害虫や害獣によって自宅などに被害が生じた場合は、その害虫や害獣の駆除費用や対策費用が雑損控除の対象になります。

シロアリ被害も対象になる

自宅がシロアリによる被害を受けたとき、それにかかる修繕費用や駆除費用は雑損控除の対象になります。ただし、事前にシロアリの発生を防止するための費用は雑損控除の対象にはなりません。
 icon-chevron-circle-right シロアリの駆除費用(国税庁webサイト)

盗難、横領

盗難、横領

空き巣、窃盗、強盗、横領、スリ、ひったくりなど

対象になるのは、本人の意思によらない被害です。詐欺や強迫、恐喝によって被害を受けた場合は、本人の意思によると考えられるため控除の対象にはなりません。金品を紛失したときなども同じです。

インターネットバンキングの不正利用やスキミング被害などデジタルな犯罪も雑損控除の対象です。

振り込め詐欺も対象にはならない

振り込め詐欺も詐欺や強迫のひとつとみなされるため、被害が起きたとしても雑損控除の対象にはなりません。

  1. 地震や津波によって住宅に被害を受けたときの被災者生活再建支援金については、雑損控除の計算には入れません。

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