【税理士監修】難しく複雑な税金制度を分かりやすく簡潔に!

そよーちょー通信

法人税

会社を設立するときは資本金が1,000万円以上にならないようにしよう

会社を設立登記をするにあたって、社長が決定することのひとつとして資本金があります。資本金が高い方が会社として信頼度が大きくなりますが、資本金は法人税や消費税を計算するうえでも大きく関係してきます。納める税金を抑えるため資本金の設定をまとめたいと思います。

資本金1,000万円以上だと初年度から消費税の申告をしなければならない

国税庁のWEBサイトには以下のように記載されています。

消費税においては、中小事業者の納税事務負担などに配慮して、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者については、納税義務を免除する事業者免税点制度が設けられています(注1)。したがって、新たに設立された法人については基準期間が存在しないため、設立1期目及び2期目は原則として免税事業者となります。
 しかし、その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人や特定新規設立法人(注2)については、その基準期間がない事業年度における課税資産の譲渡等について納税義務を免除しないこととする特例が設けられています。

出典 国税庁 No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6503.htm

基本的に中小企業は設立1期目と2期目は消費税の申告をしない免税事業者に含まれます。中小企業であっても、一回の申告で消費税の納付が100万円を超えることも珍しくありません。消費税率が5%から8%に変わり、今後は10%に変わろうともしている中、消費税の申告が2年間も免除されるのは非常に大きいことです。

しかし、資本金や出資金の額を1,000万円以上に設定してしまうと、設立1期目から消費税の申告をしなければなりません。消費税の申告のための税理士報酬も追加で支払ったりと税金以外にも負担は生じます。その他金銭面だけでなく、日々の経理処理や会計ソフトの操作でも気を付ける点が増えてします。

999万円以下なら免税事業者になる

気を付けなくてはならないのは、資本金が1,000万円未満でなければならないということです。つまり、資本金を999万円以下にすれば、消費税の免税事業者に該当します。1,000万円という切りのいい数字だと、消費税の申告をしなければならなくなるのでご注意ください。

増資をしたら

事業年度開始日の資本金の額で決定するので、1期目の期中に増資を行い、期末時点で資本金が1,000万円以上になっても消費税の申告をする必要はありません。しかし、2期目の事業年度開始日では資本金が1,000万円以上になってしまっています。そのため、本来は2期目も消費税の免税事業者のはずでも、増資をしたことによって消費税の申告をしなければなりません。

 

法人住民税の均等割は資本金に応じて決定される

法人税の多くは利益(所得)から決められた税率で計算して求めます。しかし、都道府県や市区町村に納める法人住民税の均等割は資本金の額と従業員数から求めます。以下の表は納税地が東京都にある法人の均等割の金額です。都道府県によって、均等割の金額は多少異なりますが、大きく変わることはありません。

 資本金等 従業員50人以下 従業員50人超
1千万円以下 70,000 140,000
1千万円超、1億円以下 180,000 200,000
1億円超、10億円以下 290,000 530,000
10億円超、50億円以下 950,000 2,290,000
50億円超 1,210,000 3,800,000

赤字でも均等割は発生する

法人税のほとんどは利益(所得)から計算するので、赤字決算の場合、利益に連動する法人税は発生しません。しかし、均等割に関しては、法人の利益に関係なく計算がされます。そのため、赤字であっても課税され納税します。法人住民税の均等割は自治体に対する家賃みたいなものです。

1,000万円を超えるかどうかで大きく変わる

資本金の額が1,000万円を超えるかどうかで均等割の金額は11万円も変わります。均等割は1年に一度は必ず発生するので、5年10年と考えると大きな金額です。

また、赤字であっても必ず発生するので、資金繰りが厳しい時にも納付をしなければなりません。少しでも負担を軽減するためには資本金を1,000万円にしましょう。

増資をしたら

均等割の金額は事業年度終了日の資本金等の額で決定します。そのため、期中に増資を行い、資本金等の額が1,000万円を超えると均等割は高くなってしまいます。

 

消費税の免税と均等割の最低額

資本金を999万円以下にすれば、消費税の免税と均等割の最低金額の2つを受けることができます。

出資金だけでなく、期中の増資も影響を及ぼしてしまいます。消費税は事業年度開始日、均等割は事業年度終了日の資本金等で決定されるのでご注意してください。

 

資本金は会社の体力を示す指標になる

資本金は銀行からお金を借りるときにも大きく影響します。資本金が少ないと信用されず融資を受けられない場合もあります。また、法人の登記簿謄本は誰でも閲覧することができるので資本金もすぐわかります。大きな取引をする場合には、クライアントが資本金を確認をする可能性もあります。

このように、資本金は会社の体力を示す指標です。税金面と両方から考えて設定するようにしましょう。

Copyright© そよーちょー通信 , 2024 All Rights Reserved.