会社員やサラリーマンの人も医療費控除を受けられ、税金を減らすことができます。そのために必要な手続きなどをまとめてみました。
年末調整と医療費控除
そもそも年末調整とは?
所得税とは1年間の稼ぎに対して発生する税金です。これは日本に住んでいる全ての人に共通します。
1月から12月までの所得を求めて、そこから所得税を計算して納めるという一連の流れを確定申告といい、2月3月に自らが行う作業です。しかし、会社勤めの人はこの作業を会社が代わりにやってもらえます。これが年末調整です。
年末調整でできることは限られる
家族がいるとき、特定の支払いや負担があったときなど、所得税には税金を少なくする制度がたくさん設けられています。
確定申告では全ての制度の適用を受けることができますが、年末調整で受けられるのは次の11種類の制度だけとなります。
- 扶養控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 障害者控除
- 寡婦(寡夫)控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 勤労学生控除
- 住宅ローン控除1
つまり、年末調整で医療費控除を受けることはできません。
医療費控除を行うには確定申告をする
医療費控除のような年末調整でできない減税制度は、翌年1月からの確定申告を行うと適用を受けることができます。
確定申告では年末調整の後に会社から発行された源泉徴収票が必要です。年末調整とは異なり、申告書の作成から提出まで全て自分で行わなければならないため、慣れない人はとても大変な作業になります。
住民税も自動的に減税される
確定申告のデータは自動的に住んでいる市区町村の役所に送られます。役所はそれに基づいて住民税の計算を行うため、確定申告を行えば、所得税だけでなく住民税の医療費控除の適用を受けたことになります。
医療費控除について
医療費控除は2種類ある
従来の医療費控除に加えて、平成29年からセルフメディケーション税制という新しい医療費控除が創設されました。
- 医療費控除
→主に病院などでかかった診療や治療、薬代や介護サービス、出産費用が対象になる - セルフメディケーション税制
→ドラッグストアなどで購入した特定の医薬品が対象となる
どちらか一方しか適用を受けることができません。両方とも適用できる場合には、税金が多く還付される方を選びましょう。
一緒に暮らしている家族の医療費も適用できる
どちらの医療費控除も、対象となる医療費は本人のために支払った金額だけでなく、生計を一にする配偶者や親族のために支払った金額も対象となります。
一緒に暮らしている家族の医療費も一緒に計算に入れることができます。
会社員の医療費控除の確定申告
確定申告の期限は?
減税制度を適用して税金が返ってくる申告を還付申告と言います。
一般的に確定申告は翌年の2月16日から3月15日までと思っている人が多いですが、還付申告の期限はそうではありません。5年間も申告の期限が設けられています。
正確な還付申告の期限についてはこちらで確認できます。
確定申告書の書き方
その人の住むところによって、申告書を提出する税務署は決まります。所轄の税務署はこちらから確認することができます。
税務署を調べる(国税庁webサイト)
基本的には自宅で申告書を作成します。
- 国税庁のwebサイトで作成する
- 手書きで作成する
主に2種類の方法があります。確定申告書の書き方についてはこちらでまとめています。
税務署で作成する
確定申告をどうすればいいのか何もわからない場合、以下のものを持って税務署に行けば、職員の人に教えてもらいながら作成や提出をすることできます。
- ボールペン
- 電卓
- 源泉徴収票
- 医療費のお知らせや領収書など2
- 印鑑(認め印で構いません)
- 本人の身分証明書(運転免許証など)
- 本人のマイナンバーの通知カード3
- 還付先の金融機関の口座番号
- (家族のマイナンバー)4
ただし、2月3月は非常に税務署が混み合うので注意してください。申告書や明細書は国税庁のwebサイトから印刷することも可能ですが、税務署で受け取ることができます。