医療費控除の対象になる範囲はとても広く、診療代や薬代だけでなく交通費(通院費)も対象になります。医療費控除の対象になる交通費(通院費)をまとめてみました。
対象になる交通費
国税庁のwebサイトには以下のように記載されています。
No.1122 医療費控除の対象となる医療費
2 病院、診療所、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設又は助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価出典 国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm
難しい言葉で書かれていますが簡単に言うと、病院に行くための往復の交通費は医療費控除の対象になるということです。
細かく分けて説明します。
電車、バス
通院するための往復の電車代やバス代は医療費控除の対象になります。
病院だけでなく、歯医者やリハビリテーションセンター、介護施設への電車、バス代も対象になります。
領収書について
SuicaやPASMOなどのICカードで電車やバスを利用すると領収書の発行が難しいことがあります。そのような場合は、日付、行き先の病院、区間、交通費をメモに記入していれば、それが領収書の代わりとして認められます。
ICカードにチャージしたときに発行される領収書は対象にはなりません。
定期券で通院した場合
医療費控除の対象となるのは本人や家族が負担した金額に限ります。基本的に定期代は会社が負担しているため、通院のために利用したとしても対象になりません。
ただし、定期券の区間外のところに通院した場合は、本人が負担した金額を対象とすることができます。
タクシー
医療費控除の対象となる交通費は一般的な金額の水準を超えないことも要件となります。電車やバスなどの交通機関を利用するときと比べてタクシー代は大きな支出になるため、基本的には認められていません。
- 急病によるタクシー代
- 急な陣痛によるタクシー代
- 足の怪我をしているときの病院までのタクシー代
- 身近に電車やバスがないときの病院までのタクシー代
ただし、このような電車やバスを利用できないやむを得ない理由がある場合の病院までの往復のタクシー代は医療費控除の対象として認められます。
自家用車で通院する場合のガソリン代等(国税庁webサイト)
高速道路料金も
タクシーで高速道路を利用したときは、高速道路料金も請求されますが、その支出がやむを得ないものであれば対象となります。
自家用車
上の引用にもある通り、医療費控除の対象になるのは正確には、電車代やバス代などの「人的役務の提供の対価」、つまり誰かに運んでもらってそれに対して支払ったという金額です。
自家用車で通院するためのガソリン代、駐車場代、高速道路料金などはこの「人的役務の提供の対価」に一切該当しません。そのため、病院に行くために支出したものであっても、医療費控除の対象にはなりません。
自家用車で通院する場合のガソリン代等(国税庁webサイト)
ケース別の交通費
付き添いや同行者の交通費
子どもや高齢者が通院するときは保護者など誰かが一緒に付き添って行くのが普通です。このように、誰かと一緒に通院しなけらばならない状況であれば、通院する人だけでなく、その付き添いの人の交通費も対象となります。
また、ケガなどで車椅子や松葉杖での移動になる場合など、同行者が必要な状況であればその同行者の交通費も対象になります。
入院している人の見舞いやお世話のための交通費
ただし、入院している人の見舞いやお世話をするための交通費は、通院のためのものではないため医療費控除の対象にはなりません。
往診ための医師の交通費
往診のときの自宅までにかかった医師の交通費は、タクシー代であったとしても医療費控除の対象になります。
遠方の病院までの飛行機代、新幹線代
大きな手術や治療のために遠方の病院まで移動したときの飛行機代や新幹線代については、そのときの状況によって判断が分かれます。
その遠方の病院でなければできない手術や治療なのかという正当な理由が必要です。単に実家から近いからなどといった理由では認められません。
遠隔地の病院において医師の治療を受けるための旅費(国税庁webサイト)
一般的な金額の水準を超えないことも要件となるので、飛行機のビジネスクラスやファーストクラス、新幹線のグリーン車の費用はそこに正当な理由がなければ認めてもらうのは難しいです。
判断できないときは税務署に
その本人や周囲の状況によって、医療費控除の対象になるかどうかは大きく関わってくるので、判断が難しい交通費も中にはあります。
このような自分で判断がつかないような交通費は税務署に直接問い合わせることをおすすめします。一般的には対象にならない場合であっても、状況によっては認められることもあります。
税務署は平日の8時半から17時までなら電話でも問い合わせをすることができます。
税務署の所在地(国税庁webサイト)