法人の設立登記をした後、税務署などの官公庁にいくつかの書類を提出する必要があります。提出には期限があり遅れてしまうと法人税にある様々な特典を受けることができません。書類の提出は忘れずに速やかに行いましょう。ここでは一般的に多い、中小企業の法人設立を前提に説明します。
法人番号について
提出するにあたって、それぞれの書類に法人番号を記入します。登記が完了してから一週間程度で法人番号指定通知書というものが郵送で届きます。登記上の所在地に送られるので、受け取れるようにしておきましょう。
また、個人番号(マイナンバー)と違い、法人番号は公にされていて、以下のwebサイトからも簡単に検索することができます。
法人番号公表サイト(国税庁のwebサイト)
国税(税務署)
国に納める法人税及び源泉所得税のための書類です。全国どこでも管轄の税務署に提出します。
どこの税務署に提出するのか?
法人の登記簿謄本に記載されている「本店」の住所から管轄されている地域が決められます。納税地ともいわれます。
以下の国税庁のwebサイトから検索しましょう。
全国の税務署(国税庁のwebサイト)
提出する書類
法人を設立した時に税務署に提出する主な書類として以下のものが挙げられます。
- 法人設立届出書
定款の写し
登記簿謄本 - 青色申告の承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
法人設立届出
法人が設立したことを管轄の税務署に知らせるものです。書類には代表者、納税地、事業目的など会社の情報を記入し、法人設立から2か月以内に提出をします。定款や登記簿謄本も忘れずに提出しましょう。
青色申告の承認申請書
青色申告は所得税の確定申告でありますが、法人税にもございます。赤字を10年間繰り越すことができたり、30万円以下の備品を一括で経費で落とせたりと、法人税での青色申告も様々な特典があります。基本的に法人を設立してから3か月以内に提出をしないと、1期目の法人税の申告から認められません。
給与支払事務所等の開設届出書
給与支払事務所は納税地(本店所在地)と同じで構いません。個人事業とは異なり、会社が社長に役員報酬を払うので、従業員がいない場合であっても提出をします。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
会社が給与や役員報酬は源泉所得税を差し引いて支給をします。徴収した源泉所得税は翌月の10日までに納付をしなければなりませんが、従業員が9人以内の法人であれば、1月から6月分(上期)と7月から12月分(下期)の半年に1回の納付が可能です。それを認めてもらうための申請書です。
上期(1月から6月)は7月10日まで、下期は(7月から12月)は1月20日までに納付をします。却下の通知がなければ、書類を提出した翌月末に承認されます。そのため、提出した月に源泉所得税を徴収している場合は、その月だけは翌月の10日までに納付をしなければなりません。
資本金が1,000万円以上の場合
資本金が1,000万円以上の場合、設立1期目から消費税の課税事業者となり、法人税と合わせて消費税の申告も行わなければなりません。
その他
以上の書類も提出する場合もありますが、評価方法や償却方法にこだわりがなければ提出する必要はありません。
地方税
都道府県や市区町村に納める法人税(法人住民税)のための書類です。納税地が東京23区かそれ以外かで扱いが変わります。
東京23区
納税地が東京23区の場合は納付する法人住民税は都税のみです。管轄の都税事務所にのみ提出をします。
管轄の都税事務所はこちらから検索することができます。9か所ございます。
23区内の法人税の所轄区域(東京都主税局)
- 法人設立届出
定款
登記簿謄本
それ以外
納税地が東京23区以外の場合は納付する法人住民税は都道府県民税と市区町村民税です。それぞれを管轄している役所に提出します。
都道府県税
- 法人設立届出
定款
登記簿謄本
都道府県税を管理している役所に提出をしましょう。
市町村民税
- 法人設立届出
定款
登記簿謄本
市町村民税は個人の住民税と同様に市町村役所に納付をします。納税地の管轄する役所に提出をしましょう。
支店がある場合
本店以外に支店も設置している場合は、支店のある住所にも法人の都道府県民税及び市町村民税を納付します。そのため、それぞれを管轄している役所に提出します。